トランプ大統領の一連の関税措置に対し、アメリカでは現在、訴訟が行われているようだが、トランプの専横は関税問題だけではない。学問の府を標的に言論弾圧を強めているという次の記事を読んだ。
「トランプ大統領は、5月22日ハーバード大学に対して留学生受け入れ機関としての認可を取り消すと発表した。これによって、ハーバード大は新規に留学生を受け入れる事はできず、また、在籍生も他校に転学しなければ在留資格を失うことになった。
もちろんハーバード大は取り消し措置を違憲だと訴え、米連邦地裁が一時差し止めを決定した。すると、トランプ大統領は26日にハーバード大への約30億ドル(約4300億円)の補助金を取りやめると発表した。さらに27日には、米連邦政府がハーバード大と締結しているすべての契約を打ち切るよう関係機関に指示したという。同時に、各国の大使館に対しても、学生ビザ申請面接の新規予約を停止するよう通達した。このような暴挙、無法が許されるのかと思うが、トランプは対決姿勢を強める一方である。
28日、ワシントンDC臨時連邦検事長の就任式に出席した際にも、ハーバード大の外国人留学生比率を現在の31%から半分の15%に減らすべきだ。外国人留学生のせいでハーバード大に行きたくてもいけない米国人がいると主張したが、それは国籍ではなく、学力の問題ではないのかという声もある。しかし、トランプはハーバードは我々に外国人留学生の名簿を提出しなければならないと言って、露骨な介入弾圧を行なっている。
そして、これはハーバード大だけでなく、全米の大学に対する牽制でもある。トランプはイスラエルの侵攻激化に対する抗議デモが各大学で広がることを「反ユダヤ主義」だと非難し、大学側に取り締まり強化を求めた。また東海岸の名門校「アイビーリーグ」を中心とする全米50校にDEI (多様性、公平性、包摂性)重視策の見直しも要求した。そして、この見直しが総額90億ドル(約1兆3000億円)の補助金継続の条件になると脅しをかけている。
徹底抗戦するハーバード大を見せしめにして、締め付けを強め、「逆らうとハーバード大と同じ目に合うぞ」と威圧しているのである。
「関税問題もハーバード大への圧力も根は同じです。トランプ大統領は、『留学生のせいで大学に行けない』『貿易で搾取され、損させられてきた』などと訴えて米国民の被害者意識をかき立て、中国を始めとする他国を敵視してファシズム化している。同時に、知的エリート層への反感も利用している。トランプ関税を発動し、外国人留学生を排斥して、名門大を屈服させることで、ラストベルト地帯を中心とする白人労働者の指示を固めようとしているのでしょう。ただ、これは米国にとって自殺行為です。世界中から優秀な人材が集まって交流し、高水準の研究成果で世界をリードしていけることが米国の強みだった。かつてはナチスの迫害によって多くの研究者や知識人が欧州から逃れ、米国が“知の王国”になったのに、逆流現象が始まっています。科学技術を潰しにかかればイノベーションは停滞し、GAFAのように米国発のIT産業が世界を牽引することも難しくなる。世界全体にとっても研究・学問の漂流は大きな悪影響があります」と慶應大学教授の金子勝教授は述べていた。
トランプ大統領の大学攻撃によって、米国から米国外に脱出する学者が現実として出ている。そのことについて、米イエール大学でファシズム研究を続けてきた、ジェイソン・スタンリー教授の次の言葉も掲載されていた。
「トランプ政権とファシズムは共通するポイントがある。一般に、極右政党は、自国について『かつては偉大な国だったのに、リベラルや批判的な歴史観で没落した。我々が、皆さんを自虐史観から救う。かつての権威主義に立ち変えるべき』だと言い募る傾向がある。
こうした言説が、極右政党などにより広がるのは、『民主主義が後退しつつある国でよくあること』だという彼の言葉の中に“日本の政治も同様に”という言及がなされていた。つまり教授は、トランプ政権と過去のファシスト政権に共通性を見出すと同時に、その共通点が今の日本の政治にも見られるということを述べているのだ。
それについて、誰もが思い浮かべるのは、自民党の旧安倍派を中心とした右翼的歴史修正主義者たちの言説である。つい最近も、西田昌司参議院議員が沖縄のひめゆりの塔の展示を「歴史の書き換え」と述べて、日本中から強い批判を受けたことも含むだろう。
そして、何よりも、今の自民党政権が学術会議の独立性を無視して、政府の下部機関に置き換えようとしていることもトランプの大学弾圧と全く同じであると見られている。まさに、トランプがやってる大学弾圧と日本の政府がやっている学術会議への弾圧は、全く同じことであると教授から見抜かれているようだ。
私たちは自国のことは棚に上げて、アメリカのトランプ大統領はとんでもないことをやっていると思っているが、しかし世界では、日本でも同じことが行われていると指摘されている。学術会議弾圧は安倍政権時代に始まり、それを菅政権が受け継ぎ実行し、岸田政権ではで終わったこととして承認し、石破政権ではいよいよ学術会議の人事・運営に直接介入できる内容の法改正が6月には成立する予定である。自民党を、早く下野させないとこの国は壊されてしまうと改めて思った。