ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

対米依存から自主外交へ

 「対米依存から自主外交へ」というタイトルの半田滋氏の講話を拝聴した。

 戦後の世界経済は、アメリカを中心とした自由主義諸国と旧ソ連を中心とした社会主義諸国の東西対決が長く続いたが、旧ソ連の崩壊後は、アメリカを中心とした自由主義経済に世界が一本化する構図になっていった。アメリカが世界経済の中心に君臨できたのは、初めは強力な軍事力であったが、その後は世界通貨としてのドルの威力、アメリカの圧倒的な工業生産力、極めて高い科学技術力や高い文化力を背景に、戦後長いこと世界のリーダーとして君臨してきた。アメリカが推進する自由主義経済に参加する諸国は、何かの時にはアメリカが助けてくれるという信頼をアメリカに寄せていた。
 しかし、トランプ大統領が就任して数ヶ月で、そのような世界からの信頼が一気に崩壊してしまった。今後、アメリカが何をしようと、「それは本当?それはいつまで続くの?」などと世界各国はアメリカを懐疑的な目でしか見ないようになった。これまでのアメリカは自由主義を提唱していた。それは世界をグローバル化して、関税をできるだけ低くして、物を世界中に自由に動かして、グローバルサプライチェーンの構築によって世界中を豊かにすることができるとアメリカは主張してそれを推進してきた。アメリカの主張に沿って、関税を低くして、輸出入の量を増大させ、アメリカの決済システムを採用して、世界中の諸国が自由貿易の推進に取り組んできた。
 
 ところが、米国は今まで主張してきたことを根底から破棄して世界に高関税政策を押し付けてきた。自由主義の推進は止めて、アメリカ第一主義でいくということらしい。世界各国はアメリカに幻滅して、アメリカに対する外交の見直しを進めている。また、アメリカのウクライナへの支援を打ち切り政策から、アメリカはイギリスを含むEUと強固な軍事同盟関係にあったが、EU諸国さえもアメリカは信頼に値しないということで、アメリカ抜きのEU軍事同盟を新たに考えているようだ。
 半田氏の講話は、そのよう状況のなか、日本は従来の対米依存外交でいいのかという問題提起であった。

 トランプ大統領は1期目では、日本に対し、米国製兵器の爆買いを求めた。そして、安倍首相以来、日本はそれを素直に受け入れてきた。そして2期目では、トランプ大統領は、「日米安全保障条約において、我々米国は日本を守らなくてはならないが、日本は我々を守る必要は無い。一体誰がこんな取引を結んだのか。日本は、米国との取引で巨額の利益を上げている」と不満を述べている。
 しかし、実際は日本は世界一米軍経費を負担している国である。米国防総省が2004年に発表した。駐留経費統計によると、日本の負担額は44億1100万ドル(約6400億円)で断トツのトップで、駐留経費の実に74.5%を負担している。ついで2位のドイツが15億6400万ドルで負担率は32.6%、3位の韓国が8億4300万ドルで負担率40%である。日本は世界有数の世界1の米軍支援国である。
 因みに、令和6年(2024年)の米軍関係経費は8600億円である。更に米国国防次官のコルビー氏は、有事において日本の自衛隊を米軍指揮下に置くこと、そして日本はできるだけ早く防衛費をGDPの少なくとも3%にすべきであると述べている。安倍政権以来、アメリカ兵器の爆買いが始まった。当初は年間500億円から600億円で推移していたが、第二次安倍政権から爆買いが始まり、年間1000億円、4000億円、7000億円と毎年増え続けた。それが岸田政権に変わり、防衛費の対GDP2%を受けて、2023年度は1兆4768億円という急激な増額を記録し、そして、現在は高止まりしている。日本はアメリカの軍事力増強要求を丸呑みして今日まで来ている。

このまま、アメリカが要求する軍事費増額、対GDP比3%を求められ、日本政府が断ることができない場合は以下のことが予想される。
1 社会保障費、教育費等の予算を削減して財源を確保することが必要になる。
2 財源の不足分は赤字国債で未来にツケを回すか、増税するしかない状況になる。
3 増税を求めるには、中国や北朝鮮、ロシアの脅威を喧伝して国民を騙すほかない。(これまで続けてきた政府のやり口を強化)するしかない。
しかし、4 防衛費を増やしても日本防衛の効果が上がるとは限らない。
5 これまで以上に米国製のガラクタ兵器を押し付けられる可能性が高まるだけである。
6 防衛省による発注と防衛産業への天下りがさらに増える。などが予想される。

逆に、もしアメリカの要求であるGDP比3%を断るとどうなるかについては、次のことが予想される。
1 米国が日米安全保障条約を破棄する。
2 日米安保条約第5条を米国が形骸化し、日本防衛の義務を事実上放棄し、米軍は日本からの撤退を表明する。
それを受けて、3、日本政府が腹をくくり、在日米軍の撤退を容認し受け止める。
4 米国にとって日本は地性的に重要である利点を生かし、新たに「日米安全保障協定」を日米間で締結する。その場合は、現在日本が負担している米軍の駐留経費は米国の負担とする。また、米軍が基地を利用する場合、現在は管理権は米国にあるが、以後の管理権は日本が持ち、全て日本国内法の適用を条件とする。などが考えられる。

日米安保条約が破棄された場合、現在の日米安条約を前提に組み立てた安全保障政策の見直しが不可欠になる。見直しの基本は、アメリカ一辺倒の外交から全方位外交への転換である。現在、米中間において、世界の覇権競争が行われている。今までの日本は日米同盟が外交の基軸であったため、有事の際は、アメリカの二軍となってアメリカのために対中国の代理戦争に駆り出される危険が多くある。

 そういう状況にあって、東南アジア諸国を中心に全方位外交を進める国は少なくない。米国にも中国にも与しない。戦争に巻き込むなという姿勢である。戦争をしないように平和外交を進めようという動きである。世界が考えるように、トランプ大統領は信頼できない。半田氏が言うように、日本は対米従属を見直し、全方位外交の自主外交を考えるべき時期に来ていると痛感する。