ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「トランプ外交と西洋の終焉」を読む

 アメリカのロサンゼルスで起きたデモ隊と警察当局の衝突に、ドナルド・トランプ大統領が過剰反応し、州兵を投入する事態にまで発展している。防弾チョッキ姿でマシンガンを持つ警察官が催涙ガスやゴム弾でデモ隊を攻撃する姿は、まるで「内戦」のように映る。トランプ米大統領はデモ隊を「獣」に例えて攻撃をさらに強めている。トランプ大統領はこの日、ノースカロライナ州陸軍基地フォートブラッグで演説し、「外国の国旗を持った暴徒がわが国を侵攻している」とし「LAは統制されない移民のために腐った汚物の場になった」と語りさらに軍隊を投入する予定を述べた。ロスの暴動はロスだけに終わらず、アメリカ全土広がるのではないかと懸念されている。
 一年前には想像もつかなかったことが世界で起こっている。しかも、日本の外交の基軸といわれてきたアメリカが分裂するのではないかといわれるほど揺れている。そういう中で、哲学者西谷修氏の「トランプ外交と西洋の終焉」というタイトルの評論を読んだ。次に西谷氏の評論の一部を掲載する

 「私たちは1世紀余り続いた西洋の覇権の終焉に立ち会っているのではないか。第2次トランプ米政権の外交に、そんな思いを抱いている。
 米国は、欧州が「発見」した「新大陸」で英国の植民地として出発した。その後、宗主国を戦争で破り、欧州の国家間秩序の枠外に出た「アメリカ連合国家(USA)」は、開拓により自由に土地を手にできる「私的所有権」を駆動力に発展していく。
 20世紀を迎え、第一次大戦で欧州が分裂、疲弊すると、米国は西洋への復帰を決断し、欧州を庇護しつつ世界統治に乗り出す。第2次大戦で連合国に勝利をもたらして主導権を握り、ソ連との冷戦をも勝ち抜き「1強」の座を手にした。
 だが、その陰で、覇権のコストが国内を圧迫し、繁栄を支えていた鉄鋼や自動車などの製造業が空洞化する。USスチールの買収騒動も無縁ではない。第1次大戦後に世界一の債権国だった米国は、冷戦や「テロとの戦い」を経て最大の債務国に転落した。すべてにおいて自足していた「偉大な国」の面影はない。米国民の多くは、自分たちの幸福が失われたと感じ始めた。
 いわく、国に寄生するエリートが無用な戦争を繰り返し、暴利をむさぼっている。中央情報局(CIA)も国際機関も同罪だ。我々はその割を食っている。「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン(MAGA、米国を再び偉大に!)」そうしてトランプ大統領が登場し、トランプ大統領は復活を果たした。
 したがって彼の最大の責務は、西洋による世界統治から手を引き、建国以来の「私的所有権」を最大限に主張することである。そこにイデオロギーはない。だから、西側諸国にも高関税を宣告し、51番目の州にになれとうそぶく。中国に厳しいのは、専制国家だからではなく、最大の商売敵だからである。ロシアには中国に接近しないよう、けん制し懐柔する。
 欧州には「アメリカにもたれて戦争をするな」と防衛費増額を要求し、ロシアに対する軍事的優位が生命線の欧州連合(EU)を追い込む。一方でサウジアラビアとは史上最大規模の武器売却を含む巨額の商談で合意し、歴代米政権が注力した中東の管理政策など気にしない姿勢を明確にした。
 この米国の「先祖返り」ともいうべき世界史の転換期に、日本はどう振る舞えばいいのか。
 戦後日本は、米国の核の傘の下で復興と高度経済成長を遂げ、アジアの主要国に復帰した。一方で、冷戦後も対米従属を続けた結果、米主導の新自由主義に社会を侵食され「失われた30年」を経験した。その米国が「もうアメリカをあてにするな」と言うのなら、日本は米国とのしがらみを精算する好機と捉えたい。
 ただし、欧州への宗旨変えはいただけない。明治と戦後に2度試み、2度とも行き詰まった「脱亜入欧」の愚は繰り返すまい。米国に突き放され、「泥船」状態の今の欧州が相手なら、なおさらだ。
 そうではなく、100年以上も西洋の支配に苦しみつつ、自立の道を切り開いてきた非西洋の国々と関係を結び直し、共存と協調の新秩序を目指したい。日本には、良くも悪くもそのための歴史的資産があるはずだ」と書かれていた。

トランプ大統領の政策は日本にとって好機であると西谷氏は語っていた。しかし、「脱亜入欧」は過去2度失敗した。これを繰り返すべきではない。アジアの一員としてアジアの中で共存と協調を目指すべきと語っていた。私も同感である。今、日本が国際社会の中でいかに生きていくべきかを根本から見直すべき好機である。それを進める政党、政治家を強く支持していきたい。またそのような政治家を育てなければと強く思う。