ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

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 冒頭、平野貞雄氏が次のように語っていた。
 朝日新聞の7月4日の第一面に、今回の参院選挙は「石破政権を問う選挙であり、物価高対策は現金給付か減税か」という見出しが踊っていた。私はこの見出しを見て驚いた。私たち日本国民は、今回の参院選挙のテーマをこのレベルで考えていいのだろうか?確かに、物価高は国民の生活に直結する問題であるから重要なことは理解できるが、国民生活が苦しくなったのはなぜか、という問題の本質こそ私たちはこの選挙の機会に問わなければならない。

 私は、国民生活が苦しくなった問題の本質は、日本政府が憲法についての考えを変えたからだと考える。だから、今回の選挙においては憲法問題こそ第1番に掲げるべきである。つまり、日本国憲法について護憲なのか改憲なのかが一番に問われるべきである。物価高対策は重要であるという意見に異論はないが、そういう中でなぜ増税をするのか、なぜ社会保障の国民負担率を上げるのか、それは全て軍事大国を目指しての軍事予算拡大最優先で政治を行っているためではないか。そのことに触れないで物価高対策など意味はない。

 2014年7月1日、安倍内閣集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行い、その後、安保法制が成立した。この集団的自衛権は歴代内閣が40年以上にわたり、憲法9条に違反するものであり、現行、日本国憲法の下では認められない旨、答弁をしてきたものである。集団的自衛権憲法9条に違反するとして、歴代内閣法制局長官最高裁判事、ほとんどの憲法学者違憲であり許されないと反対してきたものである。にもかかわらず、強行採決を行い、議事録を書き換えるなどおよそ慎重に熟議したとは言えない非民衆的な手続きで強行し、憲法9条に反するだけでなく、憲法の基本原則である立憲主義にも反し、国民の意思も権利も無視して成立させられたと言う点において、極めて重大な問題を含むものであった。

 そしてその後10年間に、政府は安保法制に基づいて、米艦防護を何度も実施し、防衛費を倍増させ、安保関連三文書において、敵基地攻撃能力の保有を宣言し、緊張を高める武力増強政策を進行させている。さらに台湾有事を意識した南西諸島の基地化を急速に進めるなど、戦争準備のために多くの国家予算をそのために費やして、国民の生活がますます苦しくなるという状況に追いやっている。

 憲法問題について、自民党公明党憲法改正派に対して、野党の姿勢はどうであるかを見ると、維新は、憲法改憲賛成であり、国民民主はこの問題に答えていない。憲法問題について憲法9条改憲反対を強く主張しているのは、社民党とれいわと共産党である。立憲民主は憲法9条改憲について反対と言っているが熱意がもう一つ感じられない。

 先日古い資料を見る機会があった。それは、60年安保条約成立後、混乱の責任を取って辞職した岸首相に代わって池田勇人氏が首相に就任したその年、1960年8月9日(昭和35年)に、第55代内閣総理大臣石橋湛山朝日新聞日本国憲法についてという論文を載せた。これは日本国憲法を作った第44代内閣総理大臣幣原喜重郎から学んだ日本国憲法についての見解を池田総理に訴えるものであった。その論文の四つのポイントは以下の通りである
第1点 歴代の保守党政府が次々と日本国憲法を空文化してきたので、60年安保の今日では、憲法を護る護憲派は、あたかも野党である社会党の専売特許の如き感を呈しているが、日本国憲法は、実は保守党の先輩である幣原喜重郎によって打ち出されたものである。
第2点 改正された60年安保は日本国憲法に明らかに矛盾しており、広範囲の権限を政府に与えている。これに対する日本国憲法のとるべき態度は、自国の憲法に立脚すればよい。
第3点 人類が自殺への道を選ばない限り、人類は平和的共存を維持していくことになる。日本国憲法は、憲法9条という先見の明を掲げているが、全人類に、地球上に率先して憲法9条という先見の明を日本の誠意としてこれを高らかに呼びかけるべきである。
第4点 日米親善は絶対の要件であり、これを強化することは私、湛山自身も人後に落ちない。しかし、それにこだわることは、却って日米親善を阻害するものである。池田君に希望したいことはアメリカ始め全世界から尊敬される誠意を尽くすことである。これは憲法の基盤に確然として立ち上がることにおいて他にない。言うべきことは言わないかんということであると平野氏は述べていた。
 この日本国憲法に対する石橋湛山の4つのポイントを読むと、日本国憲法を守っていくことが日本の進む道であるということであったが、実際はその逆を進んでいるようだ。石橋湛山の言葉から日本国憲法を語った憲法学者水島朝穂氏の次の意見を見ると明らかである

「いま、この国の転換点に立って、石橋湛山の言葉に耳を傾けてみたい(『石橋湛山評論集』岩波文庫)。彼は、ある時は、日本外交を批判してこういう。「日本の現在および将来の運命を決する第一義はどこにあるか。徹底した目安がついておらないのである。…ここにおいてか彼らはやむをえず、その時々の日和を見、その時々の他人の眼色を窺って、行動するほかに道はないのである」と。ブッシュ政権の単独行動主義にひたすら寄り添い、国際協調主義を損なう小泉政権の対外政策こそ、典型的な「日和を見」「他人の眼色」をうかがうものではないだろうか。
  米ソ冷戦時代、湛山は、中国やソ連との対話を求めて努力しつつ、軍事力強化の道に警鐘を鳴らした。「国連はまるで無能無力のように悪口をいうものがいるが、私はそうは思わない」として、将来の国連警察軍の創設による集団安全保障の発展をにらみつつ、政府は、国連強化の方向に努力すべきであると力説した。そして湛山はいう。「わが国の独立と安全を守るために、軍備の拡張という国力を消耗するような考えでいったら、国防を全うすることができないばかりでなく、国を滅ぼす。したがって、そういう考え方をもった政治家に政治を託するわけにはいかない」と。
 そして湛山はいう。「全人類に率先して先見の明を示した日本人の熱情と誠意を、今こそ厳粛に、そして高らかに地球の上に呼びかけるべきであろう。…憲法を冷静に読み返す時、私は日本がそのような悪路を踏んで行くことに忍び難いものを感じる」これが、自由民主党第2代総裁、元内閣総理大臣石橋湛山の言葉である」

 石橋湛山の言葉、そして、石橋湛山の言葉を元に日本が進んでいる方向に警鐘を鳴らしている水島朝穂氏の論文を読み、今度の選挙でこの修正をしないと、日本はいよいよ取り返しのつかない深みに嵌ってしまう。憲法9条を取り戻し、平和主義に立ち返らないと国民生活はますます苦しくなる。