
NHKBSで「SNSのワナ ビッグ5と闘う女性たち」を見た。
番組の冒頭、2024年1月31日、SNS大手5社のトップが米議会の公聴会に呼ばれた様子が映し出された。アメリカの40を超える州で、SNS大手企業が提訴されていた。SNS企業はネット上の脅威から子供を守っていないと公聴会で糾弾された。また、SNS企業が提供するサービスには、若者の心の健康に有害な中毒性の高い機能が組み込まれていると主張して、SNS大手5社の責任が追求された。公聴会に呼ばれたSNS大手企業は、Instagram&Facebook社、TikTok社、Snapchat社、discord社、X社のCEOであった。いずれもSNS産業を牽引する超巨大企業のトップである。
公聴会には多くの人が集まった。そして、集まっていたほとんどの人は、子供を自殺で亡くしていた。企業の責任を追求する議員が聴衆に声をかけて、そしてSNS企業を追求する「被害者の皆さん、決して諦めないでください。あなた方は今、社会を動かしているのです。経営者の皆さん、あなたたちのその両手は血まみれです。あなた方のサービスが、人の命を奪っているのです」「SNSを使えば娯楽や情報を簡単に手に入れることができますが、子供たちの人生を簡単に壊してしまいます。精巧なアルゴリズムを使い、愛情深い親よりも大きな影響を与え、子供たちを操っています」「あなたがたの企業は若年層から一人当たり270ドルの利益を生むと見込んでいます。あなた方にとって、子供は守るべき存在ではなく、あなた方にとって、子供は金を稼ぐ手段なのです。よく、そんな発想が生まれましたね」などと厳しく追求されていた。
遡ること3年前、2021年4月、フランシス・フォーゲンがfacebookの内部告発者として公聴会で証言をした。「私は長年、Facebookやメタ社など大手IT企業で働いてきました。私はアルゴリズムやお勧め機能の開発を担当しました。私はFacebook社を辞めるときに、2万ページに及ぶ社内資料を持ち出しました。それらの資料をもとに、公聴会で証言します。メタ社は、市民や政府から意図的に情報を隠しています」
告発によってメタ社が、20年以上子供の脳の発達に関する研究をしてきたことが明らかになった。フランシス・フォーゲンは述べた。「経営陣は無責任でした。安全性より利益を優先する判断を何度もしてきました。彼らの関心は会社の成長だけであり、安全性を犠牲にすることで、巨大企業に成長したのです」と証言した。
16歳以下スマートフォーン禁止ということを主張する団体が海外にはある。主催者は言う。「昔は、広場で子供たちがサッカーをしたり広場を駆け回って遊んでいた。いつも広場には子供たちの歓声が響いていた。しかし、今は広場に歓声は聞こえない。子供達は広場にいるが、みんな一人づつで、みんな下を見ている。みんなスマートフォンに夢中になっている。スマートフォンは、人とつながるための道具なのに、スマートフォンのために人とのつながりが失われている。スマートフォンやSNSの背後には巨大なプラットフォーム企業が存在する。もちろんそれらの巨大企業は、SNSには中毒性があり、使用を続けると依存症になるという不都合な真実は決して言いません」と語っていた。
番組を見ながら、スマートフォーンは人類にとっていいことばかりではないと改めて思った。特に子供にとっては簡単に依存症になりやすいこと、そしてその依存症から抜け出せず自殺者が出ていることを思うと何らかの対策が必要だと思った。
そういう中、8月21日の新聞で次の記事を読んだ。
「愛知県豊明市は、仕事や勉強時間以外の自由時間にスマートフォンなどを使用するのは1日2時間以内を目安とするよう促す条例案を、9月定例議会に提出すると明らかにした。全住民を対象に使用時間の目安を示す条例案は全国初と見られる。小学生以下の使用は午後9時まで、中学生以上は午後10時間までとするよう求める内容も盛り込む。
睡眠不足など長時間使用に伴う悪影響が、子供だけでなく幅広い年齢層の共通課題と位置づけ、厚生労働省の資料などを踏まえて、目安を2時間とした。施行後は医療、福祉の関係者や学校などと後連携して適正使用の啓発などを進めるとしており、市担当者はスマホの利用を考えるきっかけにしてほしいと話している」とあった。
最初、この記事を読んだとき、時間制限は無理ではないかと思った。スマートフォンなしではすまないだろう。子供も大人も守れない条例作っても、意味がないと思っていた。
しかし、「SNSのワナ ビッグ5と闘う女性たち」を見た後で、もう一度この「豊明市、スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」を読むと、大変素晴らしい条例だと思った。10代の若い人が、SNSの中毒になるなどして自殺することが増えている。こういう悲劇を防ぐには社会として制限をする必要もあると思う。SNSのプラットフォームである大手IT企業は利益優先主義で取り組みが遅い。法的に対策がなされるまでは個々人が管理していくしかない。SNSの依存症、中毒性それらの問題は広く社会で共有しなければと思う。