安冨歩さんと福島伸亨さんが「あまりに身勝手な自民党総裁選」というタイトルの対談をしていたので拝聴した。対談は安冨さんが無所属の国会議員である福島伸亨さんに自民党の今を語ってもらうという形で進められていた。
「自民党の現在の総裁選を含む政局についてどう思いますか?」と安冨さんが質問して福島さんが答える形で対談が始まった
「歴史を振り返ると、昭和63年(1988年)にリクルート事件や消費税導入などにより、衆議院選挙で自民党が大敗して、当時の社会党が政権与党となった。その後の政治改革問題で、自民党が長期にわたって一党支配したことが金権政治の温床になったという反省から、政権交代が起こる2大政党による政治体制を目指すべきということで1996年に小選挙区比例代表制が導入された。それから30年を経過してこの間に2009年に一度だけ政権交代が行われた。しかし、その政権交代も国民とってあまり良いことはなく、期待はずれに終わった。さらに、小選挙区制の弊害のため、人物より党に投票するという選挙に変わっていったため、魅力のある人物だから投票するというこれまでの人物本意の選挙ではなく、逆に問題のある人物であっても党が認めれば当選できる選挙に変わっていった。
そのため、昔と比べると政治家の質が低下したということが言える。現在は多くの政治家にとって、選挙は年収2000万円の就職活動になっている。その就職活動の成功率が一番高いのが自民党であったし、そのような目的で自民党から立候補して当選した政治家は、小泉首相、安倍首相以来、数多く自民党に誕生した。そして、政治への意欲もなく、ただコスパのいい就職として自民党から立候補して五期当選を続けたらいつのまにか大臣になったという成功体験が自民党を覆い、無能であっても政治をやっているふりをし、当選続けたら簡単に大臣になれることから今も自民党から政治家を目指す人は多い。
中選挙区時代の自民党はもっと人材豊富で多様性があった。いろんな人が各地から自民党に集まった。そこに集まった人に学歴、出自など関係ない。小学校出であろうが部落出身であろうが関係ない。全てが実力主義であった。各地で地元の支持を得た人間的魅力ある人物が地元の熱い応援と期待を担って自民党に集まり、さらに派閥内で熾烈な競争と鎬を削り派閥の長に上り詰め、その上派閥のボス同士の権力抗争に勝ち抜いて初めて総理・総裁になるというプロセスを経て、はじめて権力者になるというシステムで運営されていたのが昔の自民党であった。そこには厳しい競争の中で政治家として鍛えられる過程があった。
昔の自民党議員の根っこには、出身地である地元民が何を悩み、何を苦しんでいるのかという地元民の声をしっかり聞き、地元民と強い絆で結ばれているというものが明確にあった。そこから地元民のため国民のために、政治家として何をすべきかをはっきりと自覚して行動していた。そのような地元民の熱い支援をバックにしてその期待を裏切らないように全力で政治に通り組む姿勢があった。
しかし、今の自民党議員は自民党の看板で当選したものが多い。そのような今の自民党議員の根っこには、昔の自民党議員が持っていた泥臭い地元との繋がりというものは見られない。今の自民党議員はカッコいいに尽きる。例えばコバホークと呼ばれる小林鷹之氏は長身で、開成から東大を出てハーバード大へ留学して、いっぱしなことは言うけど人間的魅力はわからない。床の間に飾って置くにはいいが、何でも鑑定団にかけられると本物としては値段がつかないだろうと思う。今の自民党には、このような見かけだけはいい高学歴エリートと呼ばれる人たちと中身のない2世、3世議員の世襲議員しかいない。
昔、自民党から小学校しか出ていない田中角栄元首相が誕生したことは戦後民主主義の大きな成果であったといえる。しかし、それと全くかけ離れたところに来ているのが今の自民党である。今の自民党は看板は同じ自民党であるが、かつての自民党ではない
日本における高学歴エリート議員や世襲議員などによる政治の特権階級は、超富裕層の日本の支配者層に連なっている。その集団の基本は、お金のためだったら何でもやるという、まさにお金の奴隷になることであった。そして、それはグローバル資本主義の行きつくところであった。
小泉首相以来、新自由主義の旗印の下、グローバル資本主義が押し進められてきた。それは社会を支える人たちに労働の低賃金化をもたらした。社会を支える人たちの仕事は単なる労働力として搾取されるシステムに作り変わってしまった。30年間、給料が上がらない低賃金化が行われてきた。
これから新しい日本を作る上で重要な事は、私たちの社会をどう作り変えるかである。まず、日々生活する上で、社会を支える人たちの尊厳を取り戻し、それらの人たちの生活の改善やっていかないといけないが、高学歴エリート出身の国会議員や世襲議員がそのような政治目標に熱意を持って取り組むことは考えられないことであり、期待できないことである。
そのような国民意識が、7月の参議院選挙での自民党の大敗になったものと思われる。
石破首相の失政で自民党は選挙に大敗したわけではない。裏金問題と自民党の変質が自民党の大敗の原因である。その裏金議員たちがを大騒ぎして石破首相を退陣に追い込んだわけであるが、石破総裁は自民党再建の最後のチャンスをもたらす人であった。しかし、その人は自民党総裁の立場を追われることになった。これは、自民党が自らの手で、自民党再建の道を葬り去ってしまったことに他ならない。これによって自民党は必然的に解体過程に入ってしまったことになる」とお二人は語っていた。国民にとって無益な政党は解体して当然である。