
韓国語教室の仲間から「今、『しあわせな選択』という題名の面白い韓国映画が上映されています」という話を聞いて早速見に行った。私は、この映画には「愛の不時着」のソン・イェジンさんが出演していると聞いたので、勝手に「愛の不時着」みたいなラブロマンスだろうと思っていたが、実際はもっとシリアスな内容の映画であった。
製紙会社で25年間、堅実に仕事をしてきた主人公マンスは、妻と2人の子供、2匹の犬と郊外の大きな家で“理想的”な人生を送っていた。しかし、突然、会社から解雇されてしまった。必死に築いてきた人生が、一瞬のうちに崩壊してしまった。好調の製紙会社への就活も失敗し、追い詰められていったマンスが考えた行動はそれは・・・・「ライバルがいなくなれば、仕事は手に入る」と言う恐ろしい殺人計画であった。そして、実行して、また幸せな家庭生活を取り戻すというブラックユーモアのハッピエンドで終わっていた。
この映画を見て、就職のための殺人という状況が、常識とかけ離れた設定に思えてなかなか理解できず、違和感が強く残る映画であった。しかし、就職と家庭の幸せの関係は理解できる。また、AIの進歩による工場のロボット化による大量解雇は近未来の社会問題になることが予想されることでもある。近未来において、工場のロボット化が進み、人間としての労働力が不要になってきた場合、数少ない就職口を巡って殺人事件が発生することが予見できることをこの映画は暗示しているのかなと思うとショックな映画であった。
人間社会には、「働かざるもの食うべからず」という言葉がある。人間社会は、誰でも働けるものは、全てが働いて社会を支えていくという考えに基づいた言葉である。だから、健康で働くことができる人は働くことに喜びを感じ働いているのが現代である。しかし、この映画では、現在何千人という労働者が必要な製紙工場が完全ロボット化で数人しか人間労働者は必要ないという状況が映し出されていた。働きたいと思う人は沢山いるのに働く場所がないというのは現在の常識からすると地獄の社会である。そういう社会が目の前に迫っているということを暗示した映画だと思うと怖い映画だなと思った。
この映画「幸せな選択」では製紙工場という分野に話を設定し、ロボット化で人間の仕事がどんどんロボットに置き換えられていき、その時、少ない就職口を巡って、製紙工場の技術者が他の技術者を殺して、就職に成功したというブラックユーモアの話であった。
製紙工場という分野に限らず、ロボット化がますます進行してあらゆる人間の仕事をロボットに置き換わっていくとき、人間はどうすべきなのかを問うている映画であったように思う。