元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏が3月11日の新聞に「私たちは薄氷を踏んでいる」という評論を寄稿した。そのその評論の一部を以下に記す。
「15年前に起きた東京電力福島第一原発の事故で、私たちは、地震と津波の大きな力を見せつけられた。原発は元々、大地震があまり起こらない欧米諸国などで建てられたが、よく起こる日本にも同じように建ててしまった。大地震のない米・ニューヨークのような地域なら心配は不要だが、日本では原発が地震で破壊される危険性がある。現在日本では原発15期が稼働している。私たちは薄氷を踏んでいるのではないだろうか。
地震学は役立たずと思われてしまうかもしれないが、私たちが生きている日本では、どこで、いつ大地震が起こるのかはわからない。ガッチリとした大地に住んでいると思うのは大間違いで、明日大地震が目の前で起こっても不思議ではない。
例えば、2011年3月11日東日本大震災が発生し、福島第一原発が事故を起こした。このことについて、政府の地震調査委員会が『大津波が起きるからかもしれない』と警告していた。その警告に従い、東電は計算を行い、最高15.7メートルの津波が来る恐れがある事はわかっていた
だが、それがいつなのかは分からない。原発の敷地は高さ約10メートルと低く、危険はわかっていたのに、津波が襲ってくるまで東電は何も対策していなかった。(中略)
東北地方の東海岸は、過去に何度も大津波に襲われてきた。昔の津波で運ばれた土砂などが、地下に残っていることからそれがわかる。もちろん海だけではない。陸上で大地震が起きることもある。文字記録が比較的多く残る500年間で地上で震源が浅く、規模が特別大きかった地震を上げると少なくとも7回ある。原発のすぐ近くで起きたら、これらよりずっと小さな地震でも原発の破壊を起こすかもしれない。1923年の関東地震のような大きさであれば、壊れた原発から飛び出す放射性物質はどこまで及ぶのか恐ろしくなる。地震は『いつ』『どこで』に加えて、『どんな規模』かを正確に予測することも非常に難しい」とあった。
島崎邦彦氏は1946年生まれなので現在80歳の著名な地震学者である。私はこの評論を地震学者としての島崎邦彦氏の遺言であるという思いで読ませてもらった。
島崎さんはこの評論で、「地震学は役立たずと思われてしまうかもしれないが、」と書かれていた。それは、現在の地震学では「いつ」「どこで」「どんな規模で」ということを正確に言い当てることはできないから、地震学は役立たずと思われていると書かれていた。
しかし、島崎さんの主張は、現在の地震学の指摘に従っていれば、福島事故は起きなかったと地震学者として主張されているのである。
2002年に、福島沖で地震が起きる可能性は高い。そのときに発生する津波は15mに達するということが地震学者によって明確に指摘されていた。しかし、その指摘に対して、東電は予算面からその対策を渋り何ら対策を講じてこなかった。そして2011年3月11日東日本大震災に見舞われた。地震学者の警告に従って真っ当な対策さえ講じていれば福島事故は起きなかったと島崎さんが主張する所以である。
そして、現在について島崎さんは警告する。2011年以降、震災を経験し、原発事故を2度と起こしてはいけないという思いから、真剣に地震対策に取り組むことが必要という意識が高まった。しかし、2026年の今、その思いは薄れているのではないかと心配していると書かれている。
島崎さんは警告する。原発は元々、大地震があまり起こらない欧米諸国などで建てられたが、よく地震が起こる日本にも同じように建ててしまった。欧米諸国の地域なら心配は不要だが、日本では原発が地震で破壊される危険性がある。現在日本では原発15期が稼働している。いつ、どこで、地震が起きても不思議ではない。そういう危険に今も晒されている。
欧米の原発は安全と言えても、日本の原発は建ててはいけない所に建てたと島崎さんは言っている。すぐに脱原発、廃炉の道へ進まないと、このまま行くと間違いなく日本は、原発汚染で人が住めない国になるようだ。
島崎さんの遺言ともいうべき警告を無駄にしないようにしなければと思う。