
町山智浩氏の「裸の王様 トランプのアメリカ破壊日記」を読んだ。前書きに次のように書かれていた。
「本書は、大統領に返り咲いたトランプがアメリカを徹底的に破壊した1年間をまとめたものです。
1776年に発表されたアメリカの独立宣言には次のように書かれています。『すべての人間は平等に作られ、決して奪えない権利がある。すなわち生命、自由、幸福の追求』
『すべての人間』の自由を守るため、王様ではなく任期最大8年の大統領を元首とし、その権力を議会と裁判所が監視する三権分立を採用しました。だから『自由の息吹を求める群衆を私のもとに送りたまえ』と台座に書かれた『自由の女神』像に世界の人々は引き寄せられたのです。
でも、そんなアメリカはトランプ就任から1年で無惨に破壊されました。
まず、最初にトランプがしたのは1500人の議会襲撃犯の恩赦でした。そして、司法省とFBIから、自分と議会襲撃の関係者やロシアの選挙介入の操作を担当した職員を全員クビにしました。
次は反DEI (多様性・公平性・包括性)大統領令の発布。各省庁や軍での雇用における女性やマイノリティーの平等推進を停止し、黒人や女性の高官たちを黒人や女性であるという理由でクビにしました。
次にICE(移民関税執行局)による『不法』移民の逮捕と国外退去が始まりました。バイデン前政権下では500万人以上が一時滞在許可を得ていましたが、トランプがそれを全部無効にして『合法』から『不法』にし、国外追放しました。
移民の逮捕に令状は無く、裁判も行われていません。もちろん憲法違反なので各地の連邦判事が差し止めましたが、トランプは、各地の連邦判事を次々に解任しました。この移民迫害に、多くの市民や市長が反対すると、トランプは『反乱の鎮圧』を名目に軍隊を送り込みました。
そんな暴挙を批判するジャーナリストやトランプを笑うコメディアンは次々にクビになりました。大手テレビ局は、トランプによる訴訟攻撃や放送認可取り消しの脅しを受けて屈服しました。アメリカにおいて、言論の自由は、風前の灯です。
トランプの暴虐は世界にも向けられました。USAID(国際開発庁)を閉鎖して途上国の子どもへの食糧、医療、教育援助を停止しました。トランプ関税で同盟国を含む全世界にケンカを売りました。さらには、ガザからパレスチナ人を追い出し高級リゾートにすると言ったり、カナダを『51番目の州』、メキシコ湾を『アメリカ湾』と呼び、パナマ運を『奪回」、グリーンランドを『領有』すると言い、ついにはベネズエラに侵攻し、コロンビアへの攻撃も示唆、『西半球』を『支配する』と宣言しました。
軍の国内派遣も戦争も関税も本当は議会の承認が必要です。でも、共和党が多数支配する議会はトランプの言いなりです。このような暴走は連邦最高裁が止めるべきですが、最高裁は判事9人中6人が共和党なので、トランプの言いなりです。このままだと、トランプが憲法に反して、任期を延長しても許可されるでしょう。
かくして、トランプは『私はやりたい事は何でもできる!』と実際に叫び、王冠をかぶった姿をSNSに流している」と書かれていた。
この本を読むと、トランプはとんでもない大統領であることがわかる。しかし、トランプ大統領はアメリカ国民によって選挙で選ばれた大統領である。どうしてこのような愚か者が大統領に選ばれたのだろうかということについても書かれていた。。
大統領選挙において、当初、トランプは劣性を伝えられていた。しかし大逆転で大統領選に勝利した。その大逆転のポイントは、若者に人気の多くのネットインフルエンサーを(買収して)味方につけたことが1番大きな要因であったと書かれてあった。トランプ大統領を支持した大きな層の1つに、若者層がある。政治に興味も関心もない若者がトランプを熱狂的に支持した。これはネットインフルエンサーの影響が大きかったと言われている。
そういえば、日本の衆議院選挙でも、ネットに高市早苗のPR動画が溢れていた。自民党は衆議院選挙でネット広告に10億円を投下したと言われている。資金力に勝る自民党は他党にできない資金を投入してネットPRを行った。その結果、日本でも多くの若者に人気のネットインフルエンサーが推薦コメントをつけて高市早苗のPR動画を拡散し、それが日本の若者の投票につながったと言われている。トランプ大統領も高市早苗首相も同じ手法で選挙に勝利している。中身のない政治家はネットでお金を使って若者の票を集めるようだ。
ネットに大金を投入すると選挙に勝てる。これでは国が壊滅する。しかし、議会は与党で占められ与党の言いなり、そして最高裁は与党派ばかり。このこともアメリカと日本は同じ状況である。この本を読んで、恐ろしい時代になったと改めて思った。