ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「水木さんの幸福論」を読む

 昨年、山陰旅行をしたおり、水木しげる記念館を訪問した。その時、水木しげる記念館に至る水木ロードを歩いて水木ワールドを楽しんだ。その時以来、水木しげるさんのファンになった。図書館で「水木さんの幸福論」を見つけたので読んでみた。

著書のはじめに、次のように書かれていた。
「私は半分あの世にいる。物心ついてから長い間、妖怪や幽霊や精霊たちと付き合い、この世ならぬ方々に誘われて冥界やあの世とこの世のすき間に、片足を突っ込むようにして生きてきた。『あの世好き』を公言してはばからないこともあって、どうしても奇人変人の扱いを受けてしまうが、私は漫画家でありながら、あくなき探求に意欲を燃やし続ける真摯な妖怪研究家でもある。そして、その妖怪の存在を信じている
 これまでに描いた妖怪や幽霊は千種類を大きく超えて、『ギネスブックに申請するべき』と言う人もいる。目に見えず、形のない、感じだけのものを形にして、表現するのは骨の折れる作業である。最近では、『私は目に見えない妖怪の存在を世に知らしめ、それに形や色を与えて、世に宣伝するために妖怪に飼われているシャーマン(巫女) なのか』と思うことさえある。
 妖怪か背後霊のようなものが私に取り憑いて『描け、描け』と背中を押しているのかもしれない。70歳過ぎたら、悠々自適でのんびりと暮らす予定だったのに、今でも結構忙しいのは、やはり、憑き物が憑いているとしか思えない。でも、それは苦痛ではなく、幸いなことに楽しく、充実感があって快楽でもある。
 人間は死んだらおしまい、あの世なんかないと言う説には大いに疑問がある。人間界ではこの頃、妖怪や幽霊を感知したり、認識したりする能力が衰えてきて、そんなことを考えること自体がおかしなことだと言う風潮さえあって、実に嘆かわしい。この世ならぬもの、目に見えないものへの感受性や想像力を鈍化させるのは、不幸なことである」

 水木しげるさんは1922年(大正11年) 鳥取県境港に生まれ、幼児の頃から不思議なこと、異なる世界に興味を抱いて育った。絵を描くことが、何よりも大好きで、少年時代は、自作の童話集 や絵巻物づくりに熱中していた。水木さんは、赤ちゃんの頃からずっと境港の風土の中で、楽してのんきに好きなことをやって生きてきた。それを土台にして、その後、束縛を嫌って自由気ままに生きる「水木さんのルール」を心に決め、「水木さんのルール」に忠実にマイペースで生きてきた。でこぼこ道や回り道が多かったものの、画業という好きな道を半世紀以上にわたって、ずっと歩いてくることができたのは、とても幸せな人生だったかもしれないと書いていた。しかしこの「水木さんのルール」はいろいろなことに妨害されて、しばしば中断された。その最大の邪魔者は、戦争と貧乏であったと書かれてあった。
 
 私は、この前書きを読みながら、記念館を訪問した時の印象が蘇った。私は水木しげる記念館に妖怪記念館というイメージを持って訪問したのだが、水木しげる記念館は単なる「妖怪記念館」ではなく「反戦記念館」であった。館内の展示物全てが「戦争だけは絶対ダメだぞ!」というメッセージを発しているような感じを受けた。水木しげる記念館は「反戦平和の記念館」であった。
 水木さんのルールの妨害者は貧乏と戦争と書かれていたが、貧乏はまだ自分の力で対応できることもあるが、戦争に巻き込まれたら、もうどうにもならない。そのようなメッセージを強く感じた水木しげる記念館であった。

「水木サンの幸福論」では幸せになるための知恵として次の七ヵ条が掲げてあった。
幸福の7 カ条
第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第ニ条 しないではいられないことをし続けなさい。
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし
第四条 好きの力を信じる。
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第六条 なまけ者になりなさい。
第七条 目に見えない世界を信じる

この七か条の中で、。私が一番惹かれたのは第六条の「なまけものになりなさい」である。
水木さんは次のように言っている。「人間は真面目過ぎてつい頑張りすぎてしまう。だから、なまけものになりなさい。しかし、若い時はなまけてはダメです。若い時は全力で取り組んでください。だけど、中年過ぎたら愉快になまけるくせをつけてください」と言っていた。人間性を失わないようになまけることも必要かなと思った。

 水木しげるさんの魅力満載の本であった。水木さんが体験した軍隊、戦争についての話はしっかりと心に受け止めたいと思った。戦争は絶対ダメという思いを引き継ぎたい思った。