ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

菅首相と原発推進政策

 『2050年の温室効果ガス排出「実質ゼロ」を宣言した菅義偉首相は、30日まで3日間にわたる衆参両院の代表質問で「再生可能エネルギーのみならず、原子力や石炭を含め、あらゆる選択肢を追求していく」との答弁を繰り返した。

原発には使用済み核燃料を処分できないなど数々の問題が残ったままだが、自民党世耕弘成参院幹事長は27日の記者会見で「新技術を取り入れた原発の新設も検討することが重要だ」と主張している。』という新聞記事を読んだ。

 

2011年3月11日の東日本大震災によって福島第一原発事故が発生した。福島の事故は、「国際原子力事象評価尺度」では最悪のレベル7と評価された。過去にチェルノブイリ原子力発電所事故しか例のない、きわめて巨大かつ深刻な事故であった。今も原子炉や使用済み燃料プールから大量の放射性物質が漏れ出ていて、いつになったら完全に解決するのか、不透明な状況が今なお続いている。

 

 

2011年の福島事故を受けて、ドイツは原発からの撤退を決めた。

ドイツは、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、エネルギー政策を大きく変えた。事故から4カ月後の2011年7月に、すべての原発を廃止するための法律を、議会で可決させた。福島原発事故の直前、ドイツには17基の原子炉があった。メルケル政権は福島原発事故が起きた4日後に、「原子力モラトリアム」を発令し、1980年以前に運転を始めた7基を直ちに停止させた。この7基と、トラブルで止まっていた1基は廃炉になり、残りの9基も2022年12月31日までに順次止めていくことを決定した。

 

福島事故以前、私たち日本国民の大多数は、「原発は安全安心。安くてクリーンなエネルギー」というように思っていた。それは電力会社の団体が流すテレビコマーシャルを鵜呑みにしていたからである。好感度の高い有名俳優さんなどが出演するテレビ番組で有名俳優さんたちが言う「原発は安全安心、安い、クリーン」などの主張をそのまま信じ込んできた。原発は安全安心、安い、クリーンな三拍子揃った理想的なエネルギーであると教わってきた。

 

しかし、2011年の福島事故で多くのものを学んだ。原発は安全安心、安い、クリーンはすべてウソと言うことがわかった。原発文化人という人たちが出演するテレビコマーシャル番組はウソを垂れ流していたことを知った。

 

安全安心について

原発はウランを燃やしてエネルギーを作るわけだが、ウランを燃やすと必ず「死の灰」が出る。そして日本は原発稼働によって、これまで広島原爆80万発分の死の灰を日本のあちこちに溜めている。福島事故はそのごくごく一部が飛び出してしまったことで起こった。たったそれだけで、安心して水も飲めない、空気も吸えないようになってしまった。原発は安全でも安心でもない。本当に恐ろしいものだと言うことがわかった。そして福島に限らず、地震大国日本は原発を持ってはいけない国だと言うことがわかった。

 

原発の発電コストについて、関西電力のホームページを見ると

「2014年時点での、国の試算による発電コストは、太陽光発電が1kWhあたり約30円、石油を使った火力発電が約30円以上と高い傾向にあります。天然ガスを使った火力発電は13.7円程度、石炭を使った火力発電は12.3円程度です。

原子力の発電コストは、10.1円程度と他の発電方法と比較しても遜色ない水準です」と書かれている。

これによると原発の発電コストは10.1円で一番安いと書かれているが、これには莫大な安全対策費とか事故リスク対応費などが加算されておらず、それらを含めると原発のコストは200円以上になると書かれている。比較にならないほど高いのが原発である。

 

クリーンな原子力について

原子力発電は二酸化炭素を出さず、環境にやさしい」「地球温暖化防止のために原子力発電は絶対必要」と政府や電力会社は宣伝してきた。しかし、今は「原子力発電は、発電時に二酸化炭素を出しません」と変わってきた。最近は“発電時に”が挿入されている。これはなぜかと言うと、原子力発電で電気を得るためにはウラン鉱からウランを採掘して、それを運んで精錬し、原発で使えるように濃縮し、それを加工して燃料ペレットにして燃料棒を作る。原発はそれを輸入して使っている。そこに至るまで莫大なエネルギーが投入されている。その投入されるエネルギーは多くが石油であり、原子力発電が動くまでにすでに多くの化石燃料を使い二酸化炭素を放出していることになる。原発も稼働するためには多くの二酸化炭素を出しているということで修正されたものである。

さらに“原発はクリーン”ということばの使い方について、「発電時に二酸化炭素を出さないことだけを限定的に捉えてクリーンと表現すべきではない」と言う指摘を日本広告審査機構(JARO)から受けている。原発はウランを燃やすことにより二酸化炭素は出さないが、人間の生命をおびやかす「死の灰」を同時に出し続けている。「発電時に二酸化炭素を生まない」と言う点だけを強調して、二酸化炭素よりはるかに危険な「死の灰」を出していることに目をつぶってクリーンと表現するのは問題であるという指摘である。

 

 

すでに「安全安心」「安い」「クリーン」そのいずれもウソであることがわかった。これだけうそが明らかになり、また、福島事故から学び脱原発に向かっている国もあるというのに、日本の菅政権は懲りずに原発を推進していくと言う。

 

福井県原発推進市長が講演会で支持者に言った言葉がある。「原発ほど金になる事業はない。原発を受け入れることで、放射能で50年後、100年後に生まれた子供が片輪になるかもしれない。それはわかりませんが、それでも原発推進は金になるからやったほうがいい」

原発推進市長が言った通り、原発推進は金になるのだろうが、恐ろしいほど危険が伴うことも事実である。菅首相原発推進政策はこの市長と同じことをしていることになる。私は菅首相原発推進に断固反対する。