ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

麻生氏の「戦う覚悟」発言について その2

 元共同通信論説委員の岡田充氏は、日本の自民党麻生太郎副総裁が台北での講演で「戦う覚悟を」と戦争に備えるよう呼びかけたことについて、「外交の基本と法的枠組みに違反しかねない」と批判した。合わせて岡田氏は10日、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビューに対して、「政権の中枢を担う与党の副総裁が、民間交流に制限してきた関係を乗り越えて、公式外交関係のない台湾のトップと当たり前のように軍事や政治分野にも踏み込んで公言する」という麻生氏の行動そのものに疑問を呈しました。岡田氏はその上で、「『一つの中国』という日中関係を律する政治的枠組みと、憲法という規範の重要性を改めて認識する必要がある」と強く訴えたという記事を見た。

 麻生氏の「戦う覚悟」発言はSNS上でも、賛否両論多くの意見が飛び交っている。麻生副総理の今回の発言は、失言癖のある麻生氏が、また失言したと書く人もいたが、じつはこの発言は政府で綿密に検討され、準備されて発言されたものであるという説明もあった。私も、この発言は、政府で根回しされた発言であると思う。仮に根回しされなかったとしても、「戦う覚悟」は自民党の中では、常識になっている言葉ではないかと思う。以前、麻生氏はナチスに学べという発言をしたことがあったが、これも、自民党の中では特に目新しいことではなかったようだ。今回の「戦争する覚悟」発言も、麻生氏が思いつきで述べたことではなく、現在の日本政府、自民党を中心とした政権与党の考え方が滲んでいると確信する。この発言から、日本政府は台湾有事をでっち上げても戦争をする姿勢を示したものと思う。

 8月は先の戦争における戦没者を慰霊して、世界平和を祈念する月である。毎年、平和記念式典を通じて二度と戦争をしないことを誓ってきたのに、麻生副総理は、これからは台湾や米国そして有志の国々とともに、戦う覚悟を持つことが必要と強調した。これは日本国憲法の平和主義をすて、専守防衛をかなぐり捨てたことと同じである。

 日本は貿易立国である。日本は世界の国々に輸出したり世界各国から様々なものを輸入して、現在の豊かな生活を維持している。輸出相手国の上位は、経済成長が著じるしいアジア諸国や地域が多くを占めている。特に2009年より中国がアメリカを抜いてトップになった。その後アメリカが逆転することもあったが、2020年からは中国が輸出相手国のトップとなっている。また、輸入相手国では、2002年にアメリカから中国にトップの座が変わっている。日本は世界各国と貿易を展開しているが、特に中国は輸出入相手国として、別格であり、経済的繋がりが密接である。日本だけでなくアジアの諸国も中国との貿易関係は密接である。

 そういう中で、台湾有事が声高く言われるようになった。台湾有事の根本問題は米国と中国の覇権争いである。その台湾有事は、武器の大量消費を画策する米国の軍産複合体が狙いを定める戦場と言われている。米国から遠く、アジア人同士戦わせて、成長著しいアジア諸国を衰弱させる絶好の戦場が台湾有事であると目されている。ウクライナ戦争の次は台湾有事を発火点にアジアで戦争が勃発すると言われいる。

 その台湾有事に対してアジア諸国の基本姿勢は覇権争いに我々を巻き込むなという姿勢である。つまり、台湾有事について、アジア諸国は米国や中国に対して、米国か中国かと言う選択を求めるなということを明言している。アジア諸国としては当然だろう。覇権争いに巻き込まれて、安易に片方に加担したら、必ずそこが戦場になると考えたら、自国民の生命と財産を守るために覇権争いに巻き込まれないように対処するのが当然である。他国の覇権争いに巻き込まれて自国が戦場になるなど愚の骨頂としか言いようがない。台湾有事という覇権争いに巻き込まれたら碌なことはないと言うのは誰でもわかる自明なことである。だから、どちらにも味方をしない。武力でなく平和裏に解決してくださいと言うのがアジア諸国の基本姿勢である。

 しかし、日本は違う。日本はアジアに位置する国である。台湾有事はアジアが戦場になるから、アジア諸国は台湾有事に巻き込まれるのを避けて、どちらにも味方しないと言っているのとは逆に、自民党政権が務める日本政府は率先してアメリカに加担するという姿勢を明確に打ち出して中国に向けて着々とミサイルを配備している。元安倍晋三首相は憲法解釈を曲げて集団的自衛権を成立させて、日本がアメリカの軍事行動を積極的に支援すると言う方向性を打ち出した。これは、台湾有事では日本が戦場になっても構わない。米国のために全日本国民が戦いますということ同じである。麻生副総理の戦う覚悟は日本国をアメリカの戦争に駆り立てて、アメリカのために日本のすべての富、財産も、日本人の生命もとことん米国のために尽くしていくことが重要であると言っていることと同じである。そしてこれは、麻生副総理の思いつきではなく、自民党政権の中にある共通認識を言葉に出しただけであると思う。自民党政権をできるだけ早く倒さないと、日本の平和主義は葬られ、日本国民は間違いなくアメリカの戦争に巻き込まれて捨て駒にされてしまうだろう。日本の自民党政権は日本国民を見て政治をしていない。日本の自民党政権が常に見ているのは米国様の意向だけである。

麻生副総理は国として戦う覚悟を強調したが、私的には、中国と仲良くしてもアメリカのために中国と戦う覚悟は微塵もない。戦う覚悟とは台湾有事でアメリカのために中国の兵隊さんと闘い、中国の兵隊さんを殺す覚悟を持ちなさいと言われていることと同じだろう。中国に限らず、どこの国民に対しても絶対にそのような覚悟は持たないし、持ちたくもない。昭和24年生まれの我々の世代は平和憲法によって育ち、戦争放棄を徹底的に学んできた。今になって「戦う覚悟を持つ」軍国主義国民に戻れないし、戻りたくもない。自民党政権が続くと私は非国民ということになるだろう。非国民となっても自民党を倒すまで全力を尽くしたい。