小学校一年生と三年生の孫君が、現在我が家に滞在中である。滞在中、台風が接近したりして海の行楽が一部変更になったが、だいたい順調に予定をこなしている。海に行ったり、アグリの丘のアグリドームに行ったり、またプールに行ったり、また夜は花火をしたりして退屈しないようにしている。しかし、外は猛暑なので、日中の日が高いうちの外歩きは自粛している。今日は昼間の予定が空いていて、退屈そうにしているのでペンギン水族館に行くことを提案したら、二人とも行きたいという返事であった。ペンギン水族館は1月に来崎した時に行ったので、「行ったことがあるから、もう行かなくて良い」と答えるかなと思っていたら、二人とも大いに乗り気である。ペンギン水族館は屋内だから外が猛暑でも関係ない。そこで、二人を連れてペンギン水族館へ行った。
ペンギン水族館の料金は大人520円、子供310円である。ただし、長崎在住の60歳以上の方は無料というサービスがあり、二人の子供料金だけで入館することができた。入館するとすぐに大きな深い水槽の中をペンギンさんが元気に泳いでいる様子を観察できる作りになっている。ペンギンさんが入館者をお迎えして喜んでいるような錯覚を起こす。
ペンギン水族館の中では、孫君たちは自由に動き回り、見たいところを自由に見ながらペンギン水族館を楽しんでいた。私は、孫君の後を追いながら、つかず離れずしながら、一緒にペンギン水族館の様々な生き物を観察しながらついて回った。
ペンギン水族館はペンギンだけでなく、さまざまな魚も観察できるようになっている。長崎の海コーナーでは、長崎沿岸で見られる魚が集められていた。長崎沿岸の魚は対馬暖流の影響で南日本系の暖水性魚類が多く見られる。さらに長崎県の海域は亜熱帯の魚種も多く、また黒潮の影響による魚種も見られる。沿岸域から深さ150m〜200mの大陸棚斜面までの水域で、潮流や塩分濃度などの環境要因が複雑なため、多種多様な魚の種類が見られると説明に書かれてあった。この水槽では対馬暖流に育まれる長崎県の魚類相の豊かさを紹介し、群れを作って行動する魚、単独行動をする魚、遊泳方法による体形の違い、体色や模様の違いなど観察のポイントが示されていた。
ツチホゼリはハタ科の仲間でハタ科の中でも体高があり丸く青灰色が特徴である。名前の由来は海底に穴を掘り栖にすることから名前がつけられたようだ。暖かい海の水深100m前後の岩礁域に生息している。この個体は長崎県野母崎沖合にて釣られた個体である。ウツボに噛まれると指がちぎれるほどの強力な顎と鋭い歯を持っていることから、ウツボは海のギャングと呼ばれている。しかし、実際は臆病で穏やかな性格で、自分の方から攻撃してくることはないらしい。岩陰などの狭い環境で生活するため体は細長く、岩で体が傷つかないように分厚い皮膚と筋肉質な体つきをしている。
タコはイセエビを捕食する。しかし、ウツボはイセエビと同じ岩の隙間で生活しながら、イセエビを狙って近づくタコを捕食する。このように食べるー食べられるの関係とお互い助け合う共生の関係がこの3種の間で成り立っている。
プラ・ブックはタイ国では神の使いと呼ばれている魚である。プラ・ブック(メコンオオナマズ)はナマズ目でタイ国のメコン河にのみ生息する全長3m、体重300kgに達する世界最大級の淡水魚である。現在、絶滅危惧種に指定されている。このプラー・ブックは1992年タイ国より学術研究と国際親善を目的に長崎市に寄贈された
ペンギン水族館で孫君たちが一番やりたかったことが、バーチャルシアターであった。バーチャルシアターのコーナーに来たら、早速必要な用紙と色鉛筆を借りて作業にかかっていた。バーチャルシアターは入場者がオリジナルの塗り絵をしたペンギンや魚をバーチャルシアターの水槽で泳がせることができる施設である。孫君たちが塗り絵をした用紙を係員の方に渡し、私たちは3Dメガネを着用してバーチャルシアターに入る。そこはいろんな塗り絵のペンギンや魚くんたちが自由自在に本物の魚に混じって泳ぎ回る大きな水槽の中である。目の前をさっとペンギンや魚くんが泳いでいく。ゆっくり泳ぐ魚もいれば早く泳ぐペンギンもいる。そして孫君たちが描いたペンギン君も元気よく泳ぎまわっている。これは楽しい。自分もペンギンや魚君がいる水槽の中に入って水槽の底から見ている感覚が面白い。
ペンギン水族館ではペンギンの生態を学ぶことができる。ペンギンの天敵は大型のカモメ類である。これらの大型のカモメはペンギンのヒナや卵を襲う。そのような大型の鳥だけでなく、サメやアザラシやシャチもペンギンを襲う。しかし、一番の天敵はやはり人間らしい。昔から食糧や資源としてペンギンを獲っていただけでなく、20世紀に入ってからは原油や重油を海に捨てたり、事故で沈んだ船から重油が漏れたりして何万というペンギンの命を奪ったこともある。人が何気なく海に捨てたゴミが今もペンギンを殺していると書かれてあった。孫君に付き添いして、海は人間だけのものではないことをこのペンギン水族館で学ばせてもらった。自然を大切にしなければと思う。