ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

台湾有事 引き起こすのは誰か

 「台湾有事 引き起こすのは誰か 田岡俊治氏の徹底解説」という番組を見た。田岡俊治氏は著名な軍事ジャーナリストであり、その分析力には定評がある。今回も、田岡氏は日本が戦争に巻き込まれないようにするためにはどうすべきかということをわかりやすく解説されていた。

 田岡氏の話を聞いて次のように考えた。日本の沖縄のすぐ隣に台湾がある。今、その台湾の独立が日本では大きな問題になっている。台湾が独立の動きをしたら、中国が台湾に武力侵攻して戦争になるというのである。台湾独立は他国の問題なので、たとえ台湾が独立して戦争が勃発しても、日本には関係ない話のように思うが、決して関係ない話ではないという。それどころか、日本は、すでに台湾有事に備えて、南西諸島に新たにミサイル基地を建設したり、また沖縄を含む南西諸島の島々には避難用のシェルターを建設したり、さまざまな戦争準備の諸施策が行われている。また、安倍元首相が語っていた、敵基地攻撃能力とか核共有政策は台湾独立に関係した施策でもあるようだ。今、南西諸島ではいつ戦争が勃発してもおかしくない状況にあるらしい。

 なぜ台湾独立で、日本が戦争準備をしなければならないのかというのは、実は、アメリカが台湾独立を手助けする政策を目指しているからである。中国の飛躍的な成長は驚くばかりで、すでに国内総生産ではアメリカを超えて世界一になったのではと言われている。たとえ、まだ追い越されていなくても、ここ数年のうちに、必ず中国がアメリカを追い越すと言われるている。アメリカは、中国の急成長をアメリカの脅威と考えているようだ。そのような急成長の中国に対して強い姿勢を示すと国民の支持を得られるという国内政治の事情も相まって、アメリカは台湾独立問題を足がかりに中国に強い姿勢で接し、揺さぶろうとしている。これは世界の一位、二位を争う超大国同士の覇権争いだから、日本には直接関係ない大国同士の問題であるはずである。台湾独立問題も、超大国の覇権争いも日本に関係ない他国の問題であり、お好きにしてくださいと言いたいところだが、そうはいかないらしい。

 アメリカが台湾独立に介入して、中国と戦争状態になると、日本は日米安全保障条約集団的自衛権によって、自動的にアメリカの戦争に巻き込まれることになる。米中戦争になったら、アメリカは日本国内にある、沖縄、佐世保、岩国、京丹後、座間、横須賀、横田、三沢などの米軍基地から戦力を投入する。当然、中国は日本の在日米軍基地をミサイルで攻撃し、さらに自衛隊基地も攻撃する。日本の主要都市は全てミサイルの攻撃目標となる。さらに戦争が悪化すれば在日米軍基地本部がある首都東京に向けて核攻撃をすることも検討するかもしれない。米中戦争が勃発すれば、間違いなく主戦場になるのは日本である。日本が米中戦争に巻き込まれ戦場になったら、日本は壊滅的な打撃を受けることになるのは間違いない。その場合、どのくらいの戦争犠牲者が出るのか想像もできない。その戦争準備が着々と進められているというのは恐怖でしかない。

 台湾独立問題は、ウクライナ戦争と同じように言われることがある。しかし、ウクライナとは全く違うと田岡氏は語っていた。ウクライナはロシア圏から抜けたいという独立派が多数を占めていたし、ウクライナは国際的に認められた国家である。しかし、台湾は国際的に認められた国ではなく中国の一部である。また、台湾の独立派は5%である。毎年、台湾では意識調査が行われている。最近はほとんど変わらない結果が出ているが、台湾として独立したい人は5%、中国に統一したい人は2%、現状維持は87%という最新の結果が出ている。独立したいと思う人は決して多くはない。今のまま、百万人の台湾人が中国本土で働き、台湾の輸出総額の44%を中国本土に輸出し、年間400万人の観光客が中国本土から来訪する現在の密接な関係を結びながら、共に発展したいと考えている台湾人が大勢いるというのが実態である。ウクライナみたいに独立したい小国を大国が力で抑え込む図式ではない。87%の大多数の台湾人は独立のための戦争など考えていないし、中国も現状維持が望ましいと言っているので、現在の中国が武力侵攻する理由はない。台湾有事で戦争が勃発するなど多くの台湾人にとっても有り難迷惑な話でしかない。

 台湾有事は日本有事と、自民党の政治家は、戦争は近いとばかりに偉そうに口を開くが、“戯け”と言いたい。戦争になるというのは国民が死ぬということである。台湾有事は中国が引き起こしているように日本では喧伝されているが、決してそうではない。台湾有事を引き起こしているのはアメリカである。

 繰り返すが、最新の調査では、5%の台湾人は独立希望であるが、87%の台湾人は独立したいとは思っていない。しかも国際的に、台湾は中国の一部であると認められている。それは条約によって、日本も認めているし、アメリカも認めている。つまり、台湾独立のために力を貸すことは明らかに内政干渉である。そして、そのアメリカの内政干渉が戦争の危険を広げているのである。5%の独立派のために内政干渉し、戦争の危険を広げる理由は全くない。

 もし、アメリカがそれでも台湾独立のために介入するというのであれば、日本はアメリカに対し、「一緒に戦争します」と言うのではなく、「同調できない!」と断固とした態度を表明するのが政治家の役目ではないか。政治家の主たる役目は何か、国民を飢えさせないこと、国民を戦争に駆り立てないこと、この二つしかない。この二つができない政治家はすぐに日本の政治の場から去ってもらいたい。