ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

麻生氏の「戦う覚悟」発言について

 台湾を訪問中の自民党麻生太郎副総裁は8日、台北市内で講演し、台湾海峡で軍事演習などを行う中国の動きに警戒感を表明し、戦う覚悟を強調したというという新聞記事を見た。記事は次のように書かれていた。
「『最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ』としたうえで、『日本、台湾、米国をはじめとした有志の国に、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ』と訴えた。さらに『金をかけて防衛力を持っているだけではだめ。いざとなったら使う。台湾海峡の安定のために使う明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる』と続けたとあった。

 麻生氏の発言に驚いた。日本の副総理という政権中枢にある方が、外国に行って、「戦争を起こさせないために、日本、台湾、米国をはじめとした有志の国に戦う覚悟が必要だ。武器を持っているだけではだめだ。いざとなったら使うという明確な意思を相手に伝えることが抑止力になる」と強調したという。

 日本は6月23日沖縄慰霊の日、8月6日の広島平和記念日、そして8月9日長崎平和記念日、8月15日終戦記念日と毎年平和式典が行われてきた。沖縄慰霊の日は、先の大戦で地上戦があった沖縄戦犠牲者の霊を慰め世界平和を願う日である。広島、長崎平和記念日は原爆犠牲者の霊を慰め世界平和を願う日である。そして、終戦記念日先の大戦において亡くなられた方々を追悼し平和を祈念する日である。その行事が今年もおこなわれ、私たち日本国民は二度と戦争は起こさないという決意を新たにしているさなか、日本の政権中枢にある方が、外国で講演して、戦う覚悟を持てと声高に語ったという。

 私は、その麻生氏にちょっと待てと言いたい。台湾、米国、その他有志の国の憲法規定は知らないが、日本国は日本国憲法によって成立している国である。その日本国憲法は、第9条において、
(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2)前項の目的を達するために、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。と記している。
 この日本国憲法にある通り、日本は国際紛争を解決する手段として武力行使を放棄している国である。国の交戦権は認められていない国である。

唯一、交戦権が認められるのは自国が侵略された時の自衛のための交戦権だけである。安倍元首相は台湾有事は日本有事と語っていたが、台湾は日本の領土なのか。もし台湾が日本領土であれば、その台湾に他国が侵略した場合は自衛のための交戦権として認められるから日本国憲法上問題ないが、明らかに台湾は日本領土ではない。台湾は明確に中国の一部であり、台湾問題は中国の内政問題である。それに干渉するのは国際法内政干渉になる。中国が台湾問題は内政干渉であると指摘している通りである。

 日本国の領土でもない台湾に関して、戦う覚悟を持てというのは、まさに日本国憲法の趣旨に反する発言である。政治家は日本国憲法を遵守しなければならない。この発言は日本国憲法を無視した発言であり、憲法遵守義務違反であると断言する。麻生氏発言は日本国憲法を踏みじる行為であり、その意味で政治家不適格である。早急に辞任してもらいたいと思う。このような人物が政権中枢にあるなど論外であると思う。

 日本国憲法の趣旨に沿うならば、平和裡に解決する覚悟こそ求められているというべきである。平和外交に徹する覚悟もなく、安易に国民を戦争に駆り立てることしか考えない、腑抜けな政治家は、日本の歴史からも不要な輩であると思う。自ら早急に退陣してもらいたいと強く思う。