ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

椛島へ行く

f:id:battenjiiji:20190729091947j:plain

五島列島近辺地図

私が住んでいる福江島の近辺には人が住む島がいろいろあるが、蝶々の形をした椛島(かばしま)という島に行くことにした。形が蝶々に似ているだけでなく、実際に蝶々が多い島と言われている。昔、イワシ漁が盛んなときは4、5千人の島民が住んでいたというが現在は島民も随分少なくなったという。どのような島か楽しみである。

 

f:id:battenjiiji:20190729171642j:plain

椛島島内地図

椛島では、本窯(もとがま)漁港に上陸して、そこから矢印方向に県道に沿って進み、伊福貴(いふき)漁港まで島のあれこれを見物歩きしながら、ゆっくり一人旅を楽しむ計画である。

 

f:id:battenjiiji:20190729172625j:plain

福江椛島間連絡船 ソレイユ

福江港から高速旅客船ソレイユに乗船する。ソレイユは定員60名の高速船である。きれいな船で冷房がよく効いた船室に入ると先客が4人いた。そして予定通り定刻に出港する。この便の乗客は私をを含め5人であった。

 

f:id:battenjiiji:20190729203247j:plain

本窯漁港

福江港を出港したソレイユは、伊福貴漁港を経由して本窯漁港に行く。定刻に伊福貴漁港の桟橋に接岸したら、私以外のお客さんはみんなここで下船した。ここから乗船する人はいなかった。そのまま私を乗せたソレイユは次の寄港地本窯漁港に行く。本窯漁港で下船した私は、本窯漁港周りを歩く。この漁港は20軒ばかりの家が建っている漁港である。しかし、人が住んでいる家もあるが、無人の家もあるようだ。人は見かけない。しばらく近くを歩いたが人の気配がしないので、本窯漁港から先ほどの伊福貴漁港へ通じる県道を歩いて行くことにした。県道の上り坂を上っていく。

 

f:id:battenjiiji:20190729210131j:plain

ツブラ島

人も車も通らない舗装された県道を海岸線に沿って上り下りしながら歩いていくと右手に大きな島が見える。これが「ツブラ島」である。ツブラ島のツブラとはこの椛島では「カタツムリ」のことを言うらしい。椛島から見るとカタツムリの形に見えることからその名前がついたようだ。

 

f:id:battenjiiji:20190729211039j:plain

五島市椛島小中学校

県道を上り下りしながら歩いていると、3階建ての校舎が見えてきた。運動場があり体育館があるので学校だと確信し、降りていくと五島市椛島小中学校であった。学校の周りを見ても声もしないし人も見かけない。しかし、学校の看板がかけてあるから、廃校ということではないだろう。今は夏休みだから人がいないのだ、と思って校舎を後にした。ーーーー後で聞いたところによると、現在島内に小・中学生が一人もいないので、現在は休校中ということであった。このまま小・中学生がいないまま続くと廃校になるらしい。将来展望は決して明るくないということであった。

 

f:id:battenjiiji:20190729213118j:plain

なぎなた

観光スポット「なぎなた石」という案内があり、その案内に従って山の方に入っていく。山道をくねくねと上っていくと、祠の上に高さ4mほどもあるなぎなたのような形をした奇岩が現われた。これが長刀(なぎなた)石である。なでたら子宝に恵まれるという言い伝えがある。

 

f:id:battenjiiji:20190729214632j:plain

伊福貴漁港

人を一人も見ないまま伊福貴漁港まで来た。伊福貴漁港は百軒ほどの家が建つ漁港である。椛島では1番大きい町である。でも、町中を歩いてみるとやはり人がいない。建物の中には、今は誰も住んでいない無人の建物も多い。福江行きの船の待合所にも誰もいない。仕方ないのでその待合所で船を待っていると、島民の60代の男性が原付でやってきた。その方に「こんにちは」と挨拶して、椛島の今昔を聞く。「この近くは今も昔も良い漁場が多い。昔は、4、5千人の島民が住み、生活していたが、今は百人もいない。小中学校は、今は休校だけど、近いうちに廃校になるだろう。そうなると、若い人はもう来ない。淋しいね。」と語って去っていった。

船を待っていると、船から荷物を受け取るために60代の女性が桟橋に来られた。その女性の方に「こんにちは」と声をかけて話を聞く。「子供たちは島には何もないからと言って都会に出たまま寄り付かない。確かに若い人たちにとっては、遊ぶところもないししょうがないね。でもね、私にとっては島は住めば都、どこにも行きたくない」

女性の話を聞いているうちに船が入港した。女性は忙しくなり話は打ち切られた。女性が言った「住めば都」の意味が私もよくわかった。椛島はそういう島である。