ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

内田樹さんの「コロナ後の世界」に共感

 

 

三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊しているクルーズ船の船内で34名のコロナ感染者が発生した。私が住む長崎の上空には昨日から報道機関のヘリコプターが飛び交い、今朝もその状況は続いている。

 

長崎に限らず、毎日のニュースを見るとコロナ危機についての日本政府の対応は失敗したのではないかと思う。今日のモーニングショーでも、コロナ対策はクラスター対策で抑えるという方針できたのに、それではもう間に合わないと言う報道がなされていた。日本でパンデミックが起こることになれば、それははっきり言ってコロナ対応の失敗であると言える。

 

なぜなら、世界的に見ると多くの国がコロナ危機に襲われた。東アジアだけを見てもほぼ同時期に中国、韓国、台湾、日本がコロナ危機に襲われた。現在、中国はほぼ感染を抑え込んだと言われているし、台湾や韓国はピークである峠を越したと言われている。

日本はピークはまだ見えない状況が続いているばかりか、さらに感染爆発というパンデミックを恐れる状況にあるという情報もある。

 

なぜ、日本はコロナ危機の対応に失敗したのだろうかと思っていたら、内田樹さんの意見を聞いて納得できた。内田さんは

「為政者が無能だったということにつきます。感染症対策として、やるべきことは一つしかありません。他国の成功例を模倣して、失敗例を回避することです。これだけです。日本は感染拡大までタイムラグがありましたから、中国や台湾、韓国の前例に学ぶ時間的余裕はあったんです。しかし、政府はそれをしなかった。しなかった理由の一つは、東京オリンピックを予定通り開催したい願望に取り憑かれていたから。そしてもうひとつの理由は、安倍政権が「イデオロギー政権」だからです。たとえ有効な対策であっても中国や台湾や韓国の成功例は模倣したくない。野党の案を採用しないのと同じです。誰が出した案であるかが大事。国民の命よりも自分のイデオロギーを優先する。こんな馬鹿げた理由で感染拡大を座視した国は世界のどこにもありません。」

 

さらに、内田氏はコロナ終息後のことを語っていた。

『コロナ終息後、自民党は「憲法のせいで必要な施策が実行できなかった」と総括すると思います。必ずそうします。「コロナ対応に失敗したのは、国民の基本的人権に配慮し過ぎたせいだ」と言って、自分たちの失敗の責任を憲法の瑕疵に転嫁しようとする。右派論壇からは、改憲して非常事態条項を新設せよとか、教育制度を変えて滅私奉公の愛国精神を涵養せよとか言い出す連中が湧いて出て来るでしょう。

 コロナ後には「すべて憲法のせい」「民主制は非効率だ」という言説が必ず湧き出てきます。これとどう立ち向かうか、それがコロナ後の最優先課題だと思います。心あるメディアは今こそ民主主義を守り、言論の自由を守るための論陣を張るべきだと思います。』

 

コロナウイルスとの闘いはまだまだ続くが、それとともにコロナ後の世界は「独裁か、民主主義か」の歴史的分岐点に立たされるという内田さんの意見を心に留めておかねばと思う。