ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

憲法改正の動きについて

 日本維新の会松井一郎代表(大阪市長)は2日、国会で2022年夏の参院選までに憲法の改正案をまとめ、国民投票参院選と同日で実施すべきだとの考えを示したという記事を見た。
今回の選挙で国会の改憲勢力が3分の2を超えたことを受けて改憲に意欲を示しているようだ。
現在の日本国憲法国民主権を唱え、国民の権利を守るものであるが、それを改憲するというので有れば、何を変えたいのか、そして、それはなぜなのか一つづつ丁寧に説明してもらわなければ困る。国民投票参院選と同時にというのはあまりにも雑すぎるのではないだろうかと思う。国民に説明を十分にしないで、時期を捉えて勢いで急いで改憲しようという姿勢を感じてしまう。

憲法学者小林節教授がいつも言っていることだが、自民党憲法改正については、ごまかしが多い。小林節教授は『自民党の責任ある政治家が改憲論に触れる際に、前置きとしてほぼ必ず語る話がある。それは、「日本国憲法の三大原則(国民主権、平和主義、基本的人権の尊重)は守った上での改憲を提案している」という話である。これは、聞く人々に、現行憲法の長所を守った上での改良提案なのだ……という安心感を与える。
しかし、自民党改憲草案を読む限り、それは明白な嘘である。

まず、国民主権について、自民党の草案は、現在の権力者たち(つまり自民党政権)が憲法を使って全国民を管理するものに変えようとしている。つまり、現行憲法99条は、主権者国民の最高意思としての憲法を権力担当者(つまり政治家以下の公務員)が「尊重擁護」するように命じている。ところが、自民党草案の102条は、まず全国民が憲法を「尊重する」ことを命じ、その上で権力担当者にその憲法を「擁護」する(つまり一般国民から犯されないように守る)ことを命じている。これでは、国民主権ではなく権力担当者主権である。 

次に、平和主義について、現行憲法9条2項が「軍隊」と「交戦権」(つまり国際法上の戦争の道具)を禁じているので、わが国は海外派兵できないはずである。ところが、自民党の草案は、自衛隊憲法に明記することにより「自衛隊」という名の「国軍」を創設し、わが国を普通の軍事大国にすることになる。これでわが国は政策実現手段としての戦争ができることになる。これはまさしく軍国主義である。

 さらに、人権尊重について、現行憲法21条は無条件で一切の表現の自由を保障している。ところが、自民党の草案は、それに2項を加えて、「公の利益」または「公の秩序」に反する表現は禁じられることになっている。これは現在の中国の憲法と同じ構造である。中国に表現の自由がないことは公知の事実である。
このように、自民党が枕詞のように用いる「日本国憲法の三大原則は守った上での改憲」という表現は、明白な嘘である。言葉を大切にしない人々が最高法の文言を弄ぶ不謹慎に騙されてはならない。』と述べている。


憲法9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。
②          前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。
自民党の草案では憲法9条に新たに自衛隊を明記するということらしいが小林教授は現行9条についても以下のように述べている。
『まず、現実に核ミサイルでわが国を威嚇する北朝鮮と、軍拡を続けながら尖閣諸島を要求し続けている中国から、どうやってわが国を守るか? の問題に答えられない政策論は無責任である。その点で、北朝鮮の目的が戦争ではなく自国のあの体制の存続を認めさせることにある点を見落としてはならない。また、あの中国は、非武装であったチベットは容易に侵略したが、専守防衛に徹した台湾には侵攻を試みながらも失敗した……という事実も見落としてはならない。さらに、中東を中心に泥沼化している軍事紛争は古く「十字軍」戦争に根がある……という事実も重要である。以上の事実から、答えは明白であろう。まず、米軍と付き合って海外派兵を始めることは、本来はわが国とは無関係なキリスト教イスラム教の歴史的紛争に介入し、新しい敵をつくることで、経済的にも大き過ぎる負担であろう。そして、北朝鮮と中国に対しては、わが国の高い技術力と経済力に裏付けられた専守防衛に徹することこそが有効である。
となると、9条論の結論も明白であろう。1項に明記された「侵略戦争」の放棄は正論である。2項で「軍隊」と「交戦権」を否認して海外派兵ができない国であることも正解である。そして、行政権の一環として当然に合憲である第二「警察」としての自衛隊を整備し、日米安保で米軍基地費用を負担してわが国の防衛を補強する現在の政策も正解である。9条に自衛隊を明記するのは、アメリ軍の戦争に加担して海外派兵を目論まない限り不要。だから9条改憲は不要である。』と述べている。

自民党のホームページとか、自民党ニュースなどを見ると都合の悪いことは触れていない。自民党改憲案が全ていいことづくめの説明である。これまでの与党としての自民党政治を考えた場合、自民党は信用できないことも多い。自民党の政策については、専門家の意見を聞きながら国民サイドに立っているのかどうかその都度判断しなければと思う。ごまかしの政治と思うと怒りを覚えるが、信用できない政党を持つのも勉強になるから、これはこれで良しとしよう。