私は今年73歳になる。9月19日は敬老の日であった。敬老の日にあわせて総務省が公表した人口推計の記事を見た。
「65歳以上の高齢者は前年より6万人多い3627万人で過去最高を更新した。総人口に占める割合は29.1%で0.3ポイント上昇し過去最高を記録した。65歳以上のうち男性は1574万人、女性は2053万人であった。75歳以上は72万人増の1937万人で、対総人口の割合が15.5%になった。80歳以上は1235万人(総人口の9.9%)、90歳以上は265万人(総人口の2.1%)であった。因みに、世界で見ると、65歳以上の割合は日本が29.1%でトップである。2位のイタリヤ(24.1%)、3位のフィンランド(23.3%)を大きく上回った。国立社会保障・人口問題研究所の推計では40年には総人口の35.3%に達する見込みと発表されている。高齢化率は今後も上昇する見込みであり、医療介護体制の充実や少子化対策、地域の維持など課題は山積みだ。」と書かれていた。
また、別の記事は100歳以上の高齢者についても書かれていた。 「厚生労働省は、全国の１００歳以上の高齢者が、昨年より４１２４人増えて過去最多の６万５６９２人になったと発表した。女性が８７．６％（５万７５２５人）を占めた。４６年連続の増加となる。人口１０万人当たりの１００歳以上の人数は全国で５１．６８人。都道府県別では島根が９６．２５人で４年連続最多だった。」
国は1963年から毎年、敬老の日を記念して100歳高齢者に銀杯を贈呈してきた。ところが、有識者から「無駄遣い」の指摘が出ると、銀杯の直径を縮小したり、2016年からは純銀製を銀メッキ（銅、亜鉛、ニッケルの合金）に変更してしまった。100歳以上の高齢者が予想以上に多くなったために予算が足らなくなったようだ。
高齢者の統計記事をを読んでいたら、日刊ゲンダイデジタル版に「ああ敬老の日が怖くなる…ツイッターにあふれる「#老害」の酷い中身」という記事を見つけ読んだ。そして驚いた。
「近年、年寄りは金食い虫として嫌悪され、ツイッターでは「#老害」でヘイトスピーチの対象ともなっている。賃金は上がらず、税金や物価ばかりは高くなる──。そんな閉塞感漂う日本を象徴するかのように、SNS上では若者たちによる高齢者批判が相次いでいる。
「老害をボコってもやむなしという法律を作ってくれ。喜んで老害駆除するわ」「老害は怒鳴った瞬間に心肺停止になってほしいです」「毎年、原爆投下の日に広島に現れる老害という名のデモ隊」「国葬反対デモ、参加者が高齢者ばかりでネット民大爆笑」など、高齢者を敵視したり嘲笑する投稿が広がっている。
社会負担に喘ぐ若者たちにとって、諸悪の根源は年金をもらって働かない高齢者。多年にわたって社会につくしてきた敬愛すべき対象ではなく、自民党の杉田水脈議員の言葉ではないが、「生産性がない」という認識なのかもしれない。もちろん、ツイッターで罵詈雑言を浴びせているのはごく一部で、こうした差別的な書き込みをしている若者こそ、将来的に「老害」になっている可能性が高い。「いつか来た道、いつか行く道」だ。
老害を主張する人たちにとって、五輪汚職も幼稚園児の送迎バス置き去りもすべて老害たちが引き起こした事件であり、日本の社会や経済が旧態依然なのもすべて老害たちのせい。若者が声を上げようとしても、「老人の有権者が多いから選挙に行っても変わらない」と諦め顔。だが、日本が超高齢社会に突入しているのは事実であるが、今や人口のボリュームゾーンは1748万人の40代、1741万人の50代にシフトしている。団塊の世代を含む70代は1637万人で、選挙をすれば若者に有利な政策に変えることも可能だ。当然ながら、80代の有権者より20代の有権者の方も圧倒的に数は多い。SNSには老害ヘイトがあふれているが、街の中にはたくさんの敬老感謝が生きている。」とあった。
私もネット探索してみたら、「少子高齢化を改善するために老人を減らすのはどうでしょうか？」「老人を減らす事って 出来ないのでしょうか？ （延命治療は全額自己負担とか 任意の安楽死 導入とか）長生き されれば される程下の世代に 負担がかかります。」などという若い人の意見を見つけた。私が見つけた意見は高齢者を嘲笑しているものではないが、あまりいい気はしない。
高齢者は、若者にとって憎悪の対象になっていることを知った。確かに記事にあるように、オリンピック汚職の元電通専務の高橋治之氏は78歳、JOC前会長の竹田恒和氏は74歳、森喜朗元首相85歳、アオキ前会長青木拡憲氏83歳、角川会長角川歴彦79歳など主要登場人物は全て高齢者である。オリンピックを利用して億単位の公金を贈収賄したといわれる汚職事件を見て若い人たちが怒るのはもっともだと思う。高齢者である私も国民として怒りを覚える。高齢者が若い人からこれ以上嫌われることのないよう、高齢者の一人として誠実に生きなければと思う。
