ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「一票の反対」を読む その2

ジャネット・ランキン女史はアメリカ政界において、戦争、反対を主張し続けた。彼女は演説会場で聴衆に

「戦争は誰が起こすのか?戦争は国際金融資本と各国の軍産複合体制が起こすものと確信する」
ウイルソン大統領は第1次世界大戦への参戦について、この戦争は世界の民主主義を守るための戦いです。全ての戦争をなくすための、永久平和を樹立するための最後の戦争ですと述べた。美辞麗句で戦争を扇動することは犯罪である」
「戦争は常に正義のためとか自由のためとか国の将来のためとか何らかの理由づけが行われる。国の将来のために戦争しなければならないのならば、青年を残して老人を戦場に送ればいいでしょう。でも、夫や息子を戦争に参加させるかどうかの決定には妻と母親に意思表示する機会を与えるべきである」
「ある国がわたしたちを攻撃する唯一の理由は、その国が私たちによって攻撃されそうだという妄想を抱いているからです。別の言葉で言えば、彼らは自衛のために我が国を攻撃するのです。武装は恐怖と疑心を造成します」
「徴兵しようというのならば、大統領以下政府高官も兵隊と同じ月給にして、アルミのカップをぶら下げてみんなと一緒に食事をするべきだ。徴兵制を行うというのであれば、戦争に賛成の投票をした議員が先頭に立って、名誉の軍旗を掲げて戦場に行くようにすべきである」などと語った。

ジャネットは日米開戦に反対し、1943年1月下院議員を一期務めた後、政界から去った。第二次世界大戦が終了した時、ジャネットは65歳だった。65歳という年齢は、社会的に忘れ去られる年齢ではないが、戦争の勝利の余韻に浸るアメリカの歴史の中ではジャネット・ランキンという名前はアメリカ人が思い出したくない名前だった。ニューヨーク・タイムズなどの有力な新聞には1943年以後、彼女の記事が掲載されることはほとんどなかった。この非武装の平和主義者の名誉回復を図ったのは、ジョン・F・ケネディだった。ケネディ元大統領が「勇気ある三人の女性」という著書を出版し、その冒頭を飾ったのがジャネット・ランキンであった。
ケネディは冒頭で次のように書いている。「ジャネット・ランキンが第1次大戦参戦に反対票を投じたことによって、女性が体制順応ではなくて、自分の考えを持ち、選挙民の長期的な利益を考慮することができることを立証した。だが、そればかりでなく、彼女はその信念を貫いた。我々は「必要ならまたやるさ」と簡単に言うけれども、真剣勝負を繰り返すことはなかなかできるものではない。しかも2回目はたった一人の戦争反対だった。彼女の判断には多くの人は同意しないかもしれないが、彼女の決断の勇気を認めない人は少なくないであろう」

第二次大戦が終わると、朝鮮戦争が勃発した。それが休戦になるとベトナム戦争が始まる。ジャネットは選挙の度に新聞に小さな広告を出した「戦争に賛成した人、戦争に反対した人の名前を書き留めておきましょう。そうして、戦争に反対する人に投票しましょう」
1967年5月、87歳となったジャネットはベトナム戦争反対集会に招かれた。そして彼女はマイクを握って訴えた。
「ドイツと、日本と、あるいはベトナムと戦争をするかどうかという個別的な事が問題なのではありません。全体の仕組みが馬鹿げているのです。戦争は紛争を解決する方法ではないし、紛争を処理することはできません。皆さん、青年を殺すだけで紛争が解決できますか。我々はずるずるとベトナム戦争に介入しました。女性は見張りの目を強めましょう。今は行儀よくしている時期ではありません。女性が真剣に声を上げれば徴兵は廃止することができます。戦争を止めることができます。現在、女性はモンタナの牧場の雌牛ようなものです。雌牛が子牛と一緒に暮らしていると、男がやってきて子牛を連れ去ります。雌牛はしばらく悲しい声を上げながら後を追いますが、やがて諦めてまた子牛を産みます。よし合格、戦争に行けと言って徴兵する連中は礼儀正しいとは言えません。人間の世界も家畜の世界と同じでいいものでしょうか。私達女性1万人が喜んで刑務所に行く覚悟があればベトナム戦争を止めることができるでしょう。まず、1万人の女性が座り込みをしましょう。そしてベトナムの息子たちを呼び返そうではありませんか」彼女はベトナム戦争反対のデモ行進の先頭に立った。

1943年1月を最後に、政界から去った彼女の議員歴は通算2期4年でしかなかった。しかし、彼女の像はワシントンの連邦議事堂の中に立てられている。彼女の像は議会で94番目の銅像である。あの反戦の1票を投じて罵倒と怒号に包まれた連邦議事堂に43年と6か月後に戻ってきたのである。

私は、ジャネット・ランキンについて書かれた「1票の反対」を読んで戦争は紛争を解決する方法ではないということに強く同意する。そして彼女が常に言っていた武装がさらに恐怖と疑心を造成するという言葉に同意する。彼女は、戦争は全世界の国民の良識が示されれば戦争は起きないし、止められると言っている。どこの国にも戦争賛美者がいる。どこの国にも戦争反対の良識者がいる。戦争反対の良識者が支配する国、日本を確立しなければと思う。私も、ジャネット・ランキンの絶対戦争反対の信念を継承したいと思う。