ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

友と議論する

 先日、町に出たときに、友達の会社の前を通ったら駐車場に友達の車が停まっていた。久しぶりに顔を見たいと思って、立ち寄った。久しぶりに友達に会って、元気な様子を見て安心した。そして、しばらく談笑した。彼は若い時から会社を経営し、社長職を長くやっていたが、現在は社長職を辞し、会長職に収まっているということであった。彼の現在の仕事は、経営には直接タッチしないで、大所高所の立場から経営にアドバイスしたり、地元経済界における活動などが主な仕事らしい。彼の会社の現在の仕事の話を聞くと、彼の会社は今までの仕事をさらに発展させて、中国企業と業務提携しながら中国での事業展開を進めてきているという話であった。

 中国での事業展開が順調に進んでいるという話を聞いて、彼の先見の明に驚くと同時に、若い時から成功するまで決して諦めない彼の闘志を思い出した。彼はその不屈の精神と彼が持つ天文の包容力があるからこそ、ここまで会社を大きくできたのだろうと思った。彼は同級生の中で出世頭の一人であり、同級生として誇れる友達である。

 中国での事業展開の話が出てきたのを機会に、私は「今の岸田政権の軍事大国化の話はどう思うね?一番仲良くすべき隣人である中国をわざわざ仮想敵国にして、中国との戦争に備えるという方針をどう思うね。私は許せないと思っている」と言った。
 彼は言う「そうなんだよ。これから先、中国との間に何が起こるかわからん。それもいつ起こるかわからん状態になってきている。だから、中国での事業展開が読めない状態になっている。それで、一応、結論は出した。一旦中国での事業展開から撤退することにした。だから、今はその話を中国企業と交渉しているところだ。私たちの事業展開の権利などの一切を中国企業に売却する交渉をしているところだ」と話していた。


 私はその話を聞いて「日本が、平和国家であれば、このような中国からの事業撤退もしないで済んだはずなのに、岸田政権が軍事大国化路線を選択して、中国を仮想敵国化する限り安心して中国で事業展開もできない。これは、日本企業の進出する機会を岸田政権は潰していることになるし、日本の成長の芽を摘むことになる。こんな政策はすぐ止めてもらいたい」と言った。

彼が話を続けた「今、日本を取り巻く安全保障環境は、これまで以上に急速に厳しさを増しているし、日本は今、戦後もっとも厳しく複雑な安全保障環境に直面していると言われている。そういう状況を考えると防衛力を強化していくのはやむを得ないと思っている。現に、中国の尖閣列島への進出とか、北朝鮮の度重なるミサイル発射など不安要因が起こっている。だから、岸田政権の方針に反対とまでは言えない。中国からの事業撤退は残念であるが、岸田政権を恨んでもしょうがない。日本が置かれた立場からはしょうがないと思う。」と言った。

この話を聞いて、この物わかりの良さは何だと思った。
私は言った。「確かに、尖閣列島の件は日中間に横たわる領土問題である。お互いがその領有権を主張している。この問題は1972年に当時の田中角栄首相と周恩来首相の会談以来、この問題を取り上げて対立するより、棚上げして次世代に解決を委ねるという立場できた。それを、浅はかな元石原都知事らが画策して所有権を国が買い取るなどの強硬手段に出たことから、中国も対抗して強行手段を取り問題化したものである。お互い穏便に済まそうとしていた問題を日本側が一方的に強行した結果、問題が複雑化したと言わざるを得ない。また、北朝鮮のミサイル発射については、日本に向けて発射しているのではなく、米韓合同訓練に対する抗議として行なっているものであり、北朝鮮が日本に軍事侵攻する計画は微塵もないと断言できる。北朝鮮のミサイル発射が危険というのであれば、北朝鮮と対話すべきである。ミサイル発射が危険と言うだけでは危険を煽っているだけで問題解決になっていない。」

そもそも、中国が日本に侵攻してくる危険もないし、北朝鮮が日本に侵攻してくる危険もないのに、なんで衰退国家と言われている日本が、衰退に歯止めをかけるために使わなければならない貴重な税金を、ドブに捨てるように防衛費に投入するのかわからない。論理的に納得できるように説明してくれと言っても岸田首相は説明できない。国会で国民の理解を得る説明はできないから説明しないし、多数決で決めて、軍事大国化の道を突き進んでいる。

 多くの国民が岸田政権の軍事大国化の税金投入に反対と思いきや、地域のリーダーとして活躍している、地元の政財界の重鎮でもある友は、紛う方なく岸田政権支持である。彼は、思考力も優秀であり、論理的に考える力ももちろんある。その彼がただただ、お上の言うことに唯唯諾諾と従うのはなぜなのだろうと思った。

 彼は、社会学者・宮台真司さんが言うクズ化した人間になっているのだと思った。宮台さんは、現代人は感情が劣化し、いわゆるクズ化していると話していた。宮台さんの言葉を借りると人間のクズ化とは、言葉の自動機械、法の奴隷、損得マシン、になることだという。「言葉の自動機械」とは、自分で考えるのではなく、コンピューターでプログラムされたように自動的に動くだけになってしまう人間のこと、また、「法の奴隷」とは、法に縛られ、法に触れるか否かだけが問題で法の精神を理解せず、つまり本当に大切なことが分からなくなっている人をいう。そして「損得マシーン」とは、自分の利益を得ることしか考えない人、また自分の立場や地位が少しでも高くなることのみを考え、自分より高い立場の人を忖度する人を言う。友は、その「損得マシーン」になっていないかと思った。
 地域の政財界の重鎮として盤石の地位を築いた彼はもちろん自民党支持者である。自民党支持者の中で、地域の政財界の中で、彼は周りの人を気にして、ヒラ目、キョロ目をしながら損得マシーンになってしまったのだろうと思った。彼は選挙で自民党支持拡大のため積極的に動き回る。彼は会社の社員や関係先へ自民党議員の選挙活動を積極的に行う。そして、彼みたいな損得マシーン化した人間が日本の中にはゴロゴロいる。彼らは損得マシーンになって自民党支持に全力で駆け回るだろう。日本の未来を考えたとき、暗澹たる気持ちになる。