古賀茂明氏の「分断と凋落の日本」を読んだ。この本を読んで、本当に怖いと思った。書かれていることが本当になったらどうしようという恐怖である。この書の中で、古賀さんが2023年2月に財務省幹部OBの方と会食したときの話が書かれている。そのOBの方が、「古賀さん、僕は、本当に3年以内に日本は破綻すると思いますよ。絶対に」と発言されたという。私は、この言葉を聞いて、本当に怖いと思った。破綻するとは具体的にどういうことだろうと考えた。何が原因で日本は破綻するのだろうか。いろいろ考えながら、一番最初に思ったことは次のことである。
今、日本は北朝鮮、中国、ロシアに対して防衛力を強化するという名目で重武装・軍事大国化を急いでいる。南西諸島には対中国向けミサイルを多数建設中である。そのミサイル発射が3年以内に起こると言うことだろうか。日本がミサイルを発射すれば、撃たれた方は、撃たれたままではいない。当然反撃する。中国は即座に2000発のミサイルを日本全国に撃ち込む能力があり、北朝鮮も200〜300発のミサイルを所持していると言われている。日本がミサイルを発射すると、即座に日本全土が戦場になる。日本全土が火の海になる中、日本もさらにミサイルを相手国に発射する。相手国もさらにミサイルを発射して日本沿岸部に多数並べられた原子力発電所を攻撃すると、日本は破綻どころか壊滅してしまうだろう。放射能に汚染された日本には人間は住めなくなり、1億2千万人の日本国民は難民になって世界を流浪することになりかねない。
今、ウクライナ戦争が起こっている。平和に穏やかに暮らしていた生活が一変して、毎日多くの人が亡くなり傷つく悲惨な日常が繰り返されている。私たちはウクライナ戦争が一日も早く終結することを祈っているが、それが今度は自分の身に起こってくるということは想像するだけでも恐ろしい。
このようなあらすじを、財務省幹部OBの方は考えているのだろうか。そんなことは起こらないだろうと思ってもあり得ない話ではない。自民党政権は軍備増強のためにあらゆる予算を軍備に回している。今にも戦争が起こるかのような突出した軍備増強である。それを指摘すると、日本を取り巻く環境が悪化しているから、平和のために国防予算が増加するのはやむを得ないという人もいるがそれでいいのだろうかと思う。
私は、日本政府が仮想敵国としている北朝鮮、中国、ロシアなどの国に武力で対峙するのではなく、話し合いによる平和の構築は十分可能と思う。北朝鮮、中国、ロシアが日本を侵略しようと思ってもできるような状況ではないし、ウクライナ戦争を見ても分かるように、他国を侵略することは容易なことではない。強行すれば、自国の政権基盤が崩れる危険もある。そのような危険を犯してまで他国が日本を侵略する理由がない。また、そうならないように、平時から平和外交を積み上げることが肝心である。
このことは誰にでも分かることである。日本が軍備増強しても、戦争は滅多なことでは起こらないからそんなに心配しないほうがいいと言う人もいる。しかし、日本の場合は独自の判断で動けないということが問題である。日本は安倍元首相の時代に集団的自衛権を承認したが、これによって、日本はアメリカの戦争戦略に組み込まれてしまった。また、現在建設中のミサイル基地の運用については、日米合同運用計画を作成しているがその内容は、「米軍情報を基に相手が日本への攻撃を着手するのを確認してから反撃するまでの手順をあらかじめ定めておく」ということで、危険を察知したら定められた通り、ほぼ自動的にミサイルが発射されることになっている。日本の情報収集能力は米軍より遥かに劣る。「敵国がミサイル発射しようとしている」と米軍に言われて、それは本当かと聞いても本当と言われたら、ミサイルを発射せざるを得ない。自衛隊のミサイル発射スイッチは実際は米軍が握っているのと同じである。現在の日本は、自衛隊を米軍の傘下に置き、日本のミサイルのスイッチをアメリカにあづけて、日本の主権を放棄している状態である。
そのアメリカは軍産複合体によって戦争をビジネス化している国である。戦争を起こすことがアメリカの軍産複合体の利益になると考えたら、ベトナム戦争でも、イラク戦争でも、虚偽情報をでっちあげて戦争を起こしてきた国である。そして同盟国を戦争に巻き込んできた国である。そのアメリカが日本に嘘の情報を伝えて日本を戦争に巻き込む危険はないのかと思う。過去の例を考えると、大いにその危険はあると思う。日本の安全保障のための日米同盟であるが、その日米同盟のために危機が高まるというのは本末転倒である。日米同盟について、根本から考え直さねばならないときにきていると思う。3年以内に日本は破綻するというOBの方の話にこの筋書きがあるかどうかはわからない。私は、現在の日米同盟は、日本を第二のウクライナにする危険があると思う。私たちは、戦争をしないために真剣に日米同盟のあり方を考えていく必要がある。