ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

韓国ドラマ「ナビレラ」を見た

韓国語教室で、先生に今年は水泳教室に通いますという話をしたら、「それはいいですね。いつまでも挑戦することは素晴らしい。頑張ってください。『ナビレラ』という韓国のドラマがあります。これは高齢者がバレエに挑戦したとても楽しいドラマです。幾つになっても挑戦することはいいですね。これはお勧めです。韓国語の勉強にもなりますからよかったら見てください」と勧められた。

 ネットフリックスで見ることができますと言われたので、韓国語先生おすすめの「ナビレラ」を見ることにした。私は、「ナビレラ」は2時間くらいの単発ドラマと思っていたが、12話の連続ドラマであった。1話は60分あり、12話では12時間になる。12話全部を見るのは長すぎるなと思いながら、1話だけでも見てみようと思って見ることにした。見始めたらそのまま、面白さに引き込まれて2日間かけて12話を見終わった。韓国語の先生がおすすめするだけの内容のある感動のドラマであった。

 「ナビレラ」の意味は韓国語で蝶のように舞うという意味らしい。ナビレラの主役はパク・イナン扮する70才の元郵便配達員ドクチュルとソン・ガン扮する23歳のバレエダンサーのチェロクである。郵便配達員として家族のために懸命に働いてきたドクチュルは、定年後何事もなく過ごしていたが、年齢を重ねるにつれ周囲の訃報に触れる機会も増え、ドクチュルも自分の残りの人生を考えるようになっていた。ある日、ドクチュルはバレエスタジオの前を通りかかり、一人のバレエダンサーの青年が踊る姿に心を奪われた。その青年こそ後にドクチョルのバレエの師匠となる23歳の青年チェロクだった。
 ドクチュルは子どもの頃に一度バレエを見て、バレエダンサーに憧れて、バレエをやりたいと親にお願いしたことがあった。しかし、当時は貧しく、バレエをやらせてもらえる環境にはなく夢を諦めて人生を過ごしてきた。70歳を迎え、チェロクの華麗な躍動するバレエを見て、かつて諦めた夢が蘇り、その夢に挑戦しようとチェロクが踊っていたバレエスタジオに入会申込をした。このスタジオはプロのためのバレエスタジオであり、プロを目指すチェロクやチェロクの師匠でありスタジオのオーナーであるスンジュからは最初は相手にされなかった。 

 しかし、ドクチュルの情熱に打たれたバレエスタジオのオーナーであるスンジュは、チェロクにドクチュルのバレエの指導者になることをすすめ、バレエの基礎からしっかり教えるように命じた。その代わり、ドクチュルにはチェロクのマネージャーになることを提案した。ドクチュルはバレエを教えてもらえるなら、喜んでマネージャーを引き受けることを了解し、若い師匠と高齢者の弟子という新しい師弟が誕生した。そして、高齢者の弟子、ドクチュルは舞台デビューを目指し、また若き師匠、チェロクはプロへの登龍門であるコンクール優勝を目指して二人三脚で取り組んでいくことになった。

 70歳でバレエを始めたドクチュルは、家族に話しても理解してもらえないと思い、バレエを始めたことを秘密にしていた。そのうち、奥さんが夫のバレエに気づき、怪我でもしたら大変だし、もう歳だからそんなことは止めてくださいと反対した。ドクチュルさんには三人の子供がいる。ドクチュルさんがバレエをすることについて長男は反対、長女も反対、次男は本人の好きにさせたらいいという意見で賛成であった。近所にバレエの噂が広がり、70歳の高齢者がバレエを始めたことを面白くおかしく言う人も現れて、反対する長男は恥ずかしいから止めてと叱責して反対した。父親を叱責する長男の態度を見たドクチュルさんの妻は、今まで一生懸命に育ててきた子供から叱責される夫を見て態度を変えた。お父さんがやりたいというのだからやらせなさい。バレエをすることは恥ずかしいことではない。バレエは芸術です。言っとくけど、親に向かって叱責するような言葉を吐くなら二度と実家に来ないで。
 家族の理解を得たドクチュルさんは若き師匠のもとでバレエの練習に励む。ストレッチをして硬い身体を柔らかくし、筋肉を鍛えながら、まさに辛い練習に耐えながらバレエの基礎を学んで行った。しかし、練習に嬉々として取り組んでいる最中、ドクチュルさんはアルツハイマー症を発症する。アルツハイマー症は突然、記憶がなくなる。それは、バレエスタジオで練習を終えて帰る時に突然起きた。帰り道がわからなくなった。しばらくして、正気に戻って、最初はことなきを得たが、アルツハイマー症は病の進行に伴って発生頻度が多くなり、また深刻な状況になっていく。
 アルツハイマーを発症して、もはやバレエは断念せざるを得ないという状況になっても、若き師匠チェロクはやれるところまで一緒に行こうと手を差し伸べた。そして家族みんながバレエを続けることを応援した。病に侵されながらも、バレエは頭で覚えるのではない、体で覚えるのだと言う師匠の熱意を込めた指導で舞台デビューを目指していく物語であった。

ナビレラを見ながら、高齢者の終幕はさまざまであると思った。ドクチュルさんはとにかく最後の最後まで夢を追い続けた。ドクチュルさんは最後まで幸せを求めた人であった。幸せになるというのは人から命じられてすることではない。自分のやりたいこと、したいことをすること。アルツハイマーを発症して最初、反対した人もその熱意に打たれみんなが協力した。熱意、情熱が人生を変えるということをドクチュルさんは示してくれた。スリリングで最後まで楽しいドラマであった。