ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「田岡俊治氏の徹底解説」を見る。

2024年1月13日、台湾で総統選挙が行われた。そして民進党の頼清徳氏が当選した。選挙前の解説では、今回の選挙は、親米派の与党民進党候補者と中国との交流拡大などを訴える政権交代をめざす野党の候補者の争いで、親米派民進党候補者が勝利することになれば、中国は苛立ち、中台関係に緊張感が増すなど世界的にいろんな影響を及ぼす選挙であるという報道がなされていた。その結果は、親米派民進党の頼清徳氏が勝利した。この選挙結果は国際的にどのような影響を及ぼすのか私はとても気になった。
 
 そういう時に、テレビで、石原良純氏がMCを務める「台湾問題を考える」という番組があった。「台湾のために日本は何ができるか」という副題も添えられていた。台湾総統選挙結果を受けて、台湾問題をコメンテーターによる討論形式で盛り上げて視聴者に理解してもらうように作られた番組であった。番組の中で、台湾のいろんな方の意見が拾い上げられていたが、番組としての結論は、台湾有事は日本有事であると安倍元首相がおっしゃった。それがまさに起ころうとしている。台湾有事が起こったら日本に難民が殺到する。台湾海峡を航行できなくなると日本の物流が停滞する。まさにいろんな予期せぬことが発生していくだろう。台湾が自由社会を死守するために戦おうとする時に日本は傍観者でいいのか、今こそ、日本は覚悟が求められているというコメンテーターの言葉で番組はまとめられていた。
 先日、桜井よしこ氏が、インターネットテレビで、「あなたは祖国のために戦えますか」と投稿していたのと同じ“戦争煽利”を感じる番組であった。

 そういう時に、「田岡俊治の徹底解説」“台湾めぐり米中接近”という番組をネットで見つけた。その中身はテレビの解説とは180度真逆の解説であった。
田岡氏は番組の中で次のように語っていた。
台湾総統選挙で親米派と言われる総統が誕生したが、台湾人で中国と戦争したいと思っている人は誰もいないと言っていい。多くの人は平和を望んでいる。現に親米派の新総統の頼清徳氏は勝利宣言の挨拶の中で、一番に望むことは中国との平和な関係を築くことであると強調した。そして、何よりも、親米派の台湾独立志向の新総統の誕生を受けて、バイデン・アメリカ大統領は即座に、「アメリカは台湾の独立を支持しない、中国は一つである」という声明を発表した。アメリカは米中対立が起こるとお互いに想像を絶する悲劇しかないということをわかっているからアメリカはこのような声明を発表した。これは、日本にとって戦争を避ける絶好のチャンスだから、この機会に、「日本は台湾独立を支持しない、日中友好条約で宣言している通り、中国は一つであることを絶対的に支持する」とアメリカに次いで宣言すれば良い。そうすると簡単に日米中の平和が保たれる。これ以上の外交戦略はない。アメリカがやっているのだからすぐにやればいいという解説であった。
 田岡氏の解説はテレビで流れている台湾問題を考えるという番組の解説とは真逆の解説であった。テレビでは、戦争という現実がいよいよ近まった、今まで以上に軍備を増強して戦争に備えなければならないし、覚悟が求められているということを強調していたが田岡氏はその真逆で、今こそ平和のチャンスというものであった。

 田岡氏は台湾新総統の発言とバイデン・アメリカ大統領の発言を根拠に解説していたので、私も二人の発言をネットで探して読んでみた。
新総統の頼氏は勝利宣言の挨拶の中で中国との関係について「台湾海峡の平和と安定を維持するのが総統としての重要な使命だ。ごう慢にもならず、卑屈にもならず、現状を維持する。対等と尊厳を前提とし、対抗に代えて対話を行い、自信を持って中国との交流と協力を進め、台湾海峡両岸の人たちの福祉を増進し、平和共栄の目標を達成する」と述べていた。また、アメリカ・バイデン大統領は、記者団から台湾総統選挙の結果について聞かれ「われわれは台湾の独立を支持しない。台湾は中国の一部だという中国の立場を認識する従来からのアメリカの政策に変更はない」という立場を改めて強調したとあった。
 確かに田岡氏の言われている通り、新総統は台湾独立を求めていないし、平和を求めていると発言している。また、アメリカ大統領は間違いなく台湾の独立は支持しないと明確に発言している。これでは中国との間に戦争が起こるはずがない。日本だけが、日本の国が傾くほどアメリカから武器を爆買いして南西諸島を中心に中国に向けてミサイル基地を乱立させ戦争準備に忙しくしているのが滑稽に思えるほどだ。

そして、2月12日には石垣島で中国軍の南西諸島侵攻に伴う避難訓練を実施したというニュースが出ていたことについて、田岡氏はこれらの避難訓練は軍事専門家から見るとお笑いものでしかないと語っていた。もし、本当に日中に戦争が勃発したら、中国は南西諸島の僻地の島だけを重点的に攻撃するなどしない。開戦と同時に即座に日本全土に置かれている米軍基地と自衛隊基地を攻撃するし、(全国に置かれている原発も攻撃されるかもしれない)首都東京の首相官邸も攻撃される恐れもある。南西諸島の住民を九州に避難させることなど、日本全国が攻撃されるのに避難先などない。中国との戦火が開かれたら即座に日本全土が戦場になることは間違いないし、それを覚悟して中国と戦火を交えたいのかと問いたい。
 いや、その前に、中国との関係が悪化すれば、中国との交易が途絶える。現在日本の会社1万社が中国とビジネスを行なっている。中国との交易が途絶えると、まず中国からの物資が入ってこなくなる。中国から1ヶ月輸入が止まると日本の輸出の損失は50兆円に及ぶという試算もある。戦争になる前に日本経済は壊滅する。それでも台湾人も望んでいないアメリカも望んでいない中国との戦争をするのですか。何のために戦争するのですか?自由のために、誰も望んでない戦争をするのですか?と田岡さんは語りかけていた。まさに田岡さんの言う通りだと思う。戦争煽り番組に騙されないようにしなければいけないと思った。