ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「ザイム真理教」を読む

 この本の出版社は三五館シンシャという出版会社である。森永さんはこれまで百冊を超える本を書き、いずれも増刷され、まあまあ売れる本を書いてきたという思いから、「ザイム真理教」の本についても問題なく出版できると思っていた。ところが、どこに持ち込んでも、当社ではお引き受けできませんと全ての出版会社から出版を拒否されたそうだ。日本は言論の自由が保証された国であるが、財務省という権力者に対して財務省批判の本を出すことについて、どの出版会社も断ってきた。日本では言論の自由が奪われ、出版の自由もないのだと思いながら諦めかけていたところ、最後に三五館シンシャから出版OKが出て、やっと出版することができた。三五館シンシャは社長さん一人でやっておられる出版会社で、この本を出版して、万が一逮捕されることがあっても、社長さんと森永さんの二人だけの逮捕ですむことから社長さんも出版を決断したという話をされていた。

 財務省に批判的な意見を言った者は、嫌がらせの税務調査が入ったり、逮捕されたり、スラップ訴訟をされたりさまざまな仕打ちを受けるようだ。危険を冒してまで出版しようと思ったのはなぜですかという問いに対して森永氏は「私は65歳になり残りの人生も少なくなりました。このまま黙っていることは楽ですが、日本が沈没するのを黙って見過ごしたくない。本当のことを社会に伝えようと思って本を出すことに決めました。黙って死ぬより、少しでも戦って死のうと思いました。私がこの本の中で語っていることは、私だけが知っていることではありません。多くの経済学者やその関係者は誰でも知っていることです。しかし、怖くて言えないから表沙汰にならないだけです」と語っていた。

 内容は確かに怖いものであった。この本は、日本の本当の支配者のことを批判的に書いたものであった。この本では、日本の本当の支配者は日本が従属している“アメリカ”と日本を経済的に支配する“日銀”と“財務省”の三つの組織であると断言し、そして、30年に及ぶ日本経済の転落をもたらした真犯人は“財務省”であると語っていた。
 私は日本国の支配者には日本国首相も入っていると思っていたが、そうではないと書かれていた。ザイム真理教は、日本国首相がザイム真理教の教義に反しない政治をしている限りは全面的にバックアップをするが、一旦、教義に反することをしようとすると、時の政権を倒しにくるそうである。だから、多くの首相はザイム真理教の信者に転向するらしい。

 この本のタイトルは「ザイム真理教」である。ザイム真理教はもちろん財務省を指している。これは財務省カルト教団と同じであるという意味である。カルト教団というのは、教祖及び幹部が贅沢な幸せな暮らしをするために、周りに不安を煽りながら布教に励み、その不安を取り除くには壺を買いなさいと言ってお金を巻き上げる活動をしている組織をいう。まさに財務省が行っていることはそのカルト教団と同じことを日本国民にしていると森永氏は主張していた。

森永氏の主張は以下の通りである。
「消費税は必要ですか?」という問いに日本人の70%を超える人が必要と答えている。これはザイム真理教の布教の成果だと森永氏は語っている。
ザイム真理教の教義は「財政均衡主義」と「消費税増税」である。税収を大きく上回る歳出がなされると財政赤字がどんどん拡大する。現在までに、借金によって日本の国債残高はどんどん増えて今や先進国の中ではダントツに大きい国債残高を抱えている。その財政赤字を放置すると将来的に子孫に負担を先送りすることになる。日本の財政は破綻状態にあり、そのまま放置すると国債の信頼が失われ、円の通貨の信頼に悪影響を及ぼす。さらに、国民が広く受益する社会保障費は今後も増大していくと見込まれ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うために消費税の引き上げはどうしても必要であるという主張がなされている。
 このザイム真理教の主張を聞くともっともだと思い、消費税引き上げはやむを得ないと思う国民も多いのではないかと思う。私もそのように説明されたら、反論できない。

 しかし、森永氏は経済評論家の立場から、日本の財政状態が破綻状態というのは真っ赤なウソと喝破する。日本の財政状態は国際的視点からも、学問的視点からも正常である。破綻状態では全くない。だから、増税する理由がない。むしろ、消費税をゼロにしても問題ない。そうすれば景気回復はすぐにできると森永氏は主張する。ザイム真理教はその真実を隠し、消費税増税を主張しているのは「このままだと不幸になりますよ。いま対策しないとその影響が子や孫まで及びますよ。それを避けるためにこの壺を買いなさい」と言っているのと同じだと森永氏は話す。ザイム真理教の目的は国を豊かにし国民を豊かにするというのではなく、徹底的に国民から税金を吸い上げることだけを目論んでいるという。ザイム真理教は消費税25%を当面の目標にしているようだ。

 森永氏のザイム真理教の中で、有り余ったお金はどう使っているかその流用先についてもいろいろ書かれていた。ザイム真理教の幹部(いわゆる上級国民)は定年後、最高4000万円近くの年収で個室付き、秘書付き、海外旅行付き、交際費付き、送迎車付きの天下り先が準備されている。それを皮切りに何度も転職を繰り返し、その度に何千万円もの退職金を手にして肥え太っていく。国民から巻き上げた資金はこのようなザイム真理教幹部(上級国民)の贅沢のための資金にも活用されている。さらに、赤坂や麹町のザイム真理教職員住宅用のタワーマンションや国会議員宿舎用のタワーマンション建築費に流用され、相場60万円の家賃が12万で貸与されるそうだ。そのようにザイム真理教教祖、幹部の贅沢とその信者獲得のための布教活動のために使われていると書かれていた。現在、日本人の収入に対する税金等負担率は50%になった。江戸時代さえも四公六民であって、五公五民になったら一揆が起こったという。これでは国民が生活が苦しいというのは当然である。ザイム真理教を解散に追い込まなければ、この国は終わってしまうと思った。