ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

古賀茂明氏の「防衛費確保法の罠」を聞く

 ネットで、古賀茂明氏の「防衛費確保法の罠」という話を聞いた。
この法案は、5年間で43兆円という倍増が決定した防衛費増額の財源確保に向けて、歳出改革や決算剰余金、それに国有財産の売却など、税金以外の収入を複数年度にわたって活用できるようにするため、一般会計に「防衛力強化資金」を創設することが盛り込まれている法案である。5月23日の衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決された。そして、6月15日、参議院の財政金融委員会で採決可決され、法案は近日中に本会議で可決される見通しである。

 この法案は防衛省の防衛費の問題であると国民は考えているようだが、この法案ほど国民の生活に直接影響を与える法案はないという説明であった。
 「国が使えるお金がここにあります。このお金を何に使いますか、防衛費に使いますか、社会保障に使いますか、子育てに使いますか、それらを検討してその優先順位を決めていくのが政治家の役割です。しかし、この『防衛費財源確保法案』の基本的考え方は、お金があればまず、防衛予算に使いますということです。2023年度予算でもすでにやっていることですが、予算執行されなかった余ったお金、国有財産を売り払ったお金、予備費で余ったお金などすべて防衛費に組み込むと言う作業をやってきました。この『防衛費財源確保法案』は、これからも国の余ったお金は防衛予算に最優先で割り当てるという法律です。この『防衛費財源確保法案』が成立すると、運用として通常の予算とは別に予備費の額もできるだけ増額して予備費を余らせて防衛費に組み込むということをやりはじめる。このシステムが運用されると、余っているお金はすべて防衛費に行く法律だから、防衛費以外は国に財政的に余分なお金は全くないということになる。では、今1番の問題とされる出生率1.26の少子化対策はどうなるか、異次元の少子化対策こそ最優先で取り組まなければならない問題なのに、財源がないから対策できないということになってしまう。この『防衛費財源確保法案』は国民生活は後回しですと宣言する法律です」と古賀氏は語っていた。つまり、「防衛費財源確保法案」は防衛問題ではなく、私たちの国民生活の問題であると捉える必要があると強調されていた。
 古賀氏の話を聞いて「防衛費財源確保法案」は国民の生活を破壊する法律だと思ったし、これを自民党公明党は積極的に推し進めていることに怒りさえ覚える。しかし、古賀氏の話はこれで終わるのではなく、実は「防衛費財源確保法案」以上に問題ある法案がすでにすでに可決されてしまったと言う話であった。その法案は国内の防衛産業を維持するための「防衛産業強化法案」である。これは、共産党とれいわ新撰組以外の与野党の賛成多数によって成立した法律である。

 日本の周りは北朝鮮、ロシア、中国など危険な国が多い。だから防衛費を増額してそれに備えると言うのが政府の方針である。戦争に備えて武器をたくさん作らなければならない。しかし、平和国家であったために日本の防衛軍需産業は衰退してしまっている。これから武器がたくさん必要になる。そのために防衛軍需産業を復活させる必要がある。そのためにできたのが「防衛産業強化法案」である。この法律は軍需産業を強化するために国有化もできる内容になっている。これから日本の防衛のために武器を作るだけでなく、たくさん武器を作り武器を輸出して外貨も稼ごうと言う計画である。アメリカを始めとして、巨大な軍需産業が大きな力を持つ国は多い。日本も巨大な軍需産業を目指すようだ。軍需産業は世界各地で紛争や戦争が発生すればするほど活況を呈して利益を上乗せしていく。日本においても防衛産業強化法案によって国有化も視野に入れた巨大軍需産業が作られて、全国各地に軍需工場ができ、全国津々浦々に武器工場城下町が誕生していくのだろう。そして、多くの人がそこに職を得て仕事をするようになるのだろう。そうすると、世界各地で紛争や戦争が拡大すれば、好景気になり、賃金も上がり、逆に戦争が終わり平和が訪れると不況になるという中で、戦争反対の声は上げにくくなる。アジアにおける軍拡競争反対の声も出なくなる。日本の平和主義の最後の砦は国民の「戦争反対」という声であったが、防衛産業強化法案によって、間違いなく国民の「戦争反対」の声が消えていくという話であった。

 日本の平和主義はいよいよ風前の灯にあると思った。平和憲法を掲げて多くの先人政治家が守り抜いてきた平和主義日本をここまで破壊して、そして国民が戦争反対の声を出しにくい最終目的地にうまくたどり着いたと現在の自民党政治家は思っているだろう。それでも私は戦争反対を叫び、戦争放棄日本国憲法を高く掲げて進んでいきたいと思う。