ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

次期戦闘機輸出の閣議決定について

 自民、公明両党は3月19日、それぞれの党会合で、次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する閣議決定案と、防衛装備移転三原則の運用指針改正案を了承したというニュースを見た。

武器輸出に関しては、当時の佐藤総理及び三木総理が国会において武器輸出に関する政府統一見解等を以下のように表明している。

1.佐藤総理(当時)が衆院決算委(1967.4.21)における答弁で以下のことを表明した。
 武器輸出三原則とは、次の三つの場合には武器輸出を認めないという政策をいう。
(1)共産圏諸国向けの場合
(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
(3)国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合

2.三木総理(当時)が衆院予算委(1976.2.27)における答弁において「武器輸出に関する政府統一見解」として以下のことを表明した。
「武器」の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。
(1)三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。
(2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。
(3)武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。

 以来、日本は平和国家を標榜する国であることから、武器輸出については原則禁止を続けてきたが、安倍総理(当時)は「防衛装備移転三原則」を2014年に制定し、それまでの「武器輸出三原則」で事実上禁じられてきた武器輸出を可能にした。そして、2024年3月、岸田総理は次期戦闘機の輸出の閣議決定を行なった。戦闘機の輸出が可能になるとどのような武器も輸出可能となり、いよいよ日本は、平和国家をかなぐり捨てて、国のあり方を根本的に変えようとしている。日本は憲法で平和国家を謳っているが、その真逆な政治がなされている。武器輸出に関する重要なことが国会で議論もされないまま、閣議決定のみで全てのことが決められ進められている。日本は破壊されていると言ってもいい状態である。
 

 この武器輸出解禁については昔から経済界が自民党に要望してきたことである。経団連が、武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」の見直しを主張し始めたのは1995年からである。企業献金を繰り返しながら、パーティー券の購入に協力して、何度も武器輸出三原則の見直しを要望してきた。そして、2014年に「防衛装備移転三原則」で武器輸出を解禁して、今回いよいよ戦闘機まで輸出できるようになったことは、経済界の主張通りに政策が行われていると言って良い。企業献金をたくさん出す財界や企業の意向に沿って政策が行われていることは、日本の政治は金で売り買いされているようだ。殺傷能力のある武器の輸出は紛争を助長しかねないという懸念については、まともに答えず、ただお金をくれる人のための政治を行なっている。

 私は日本が軍需産業を主力産業に据えて、輸出を行うことができるようになると、日本はもはや平和国家ではなくなることを心配する。逆に戦争を欲する人が出てくることを心配する。アメリカの事例であるが、大砲の弾を作っている会社の労働者が、戦争が終わり不景気になった時のインタビューに、戦争していたフル操業の好景気がまた来て欲しいと言っていたのを聞いたことがある。軍需産業で成り立つ地域では、労働者からこのような発言が出てくる。国民の大多数を占める労働者から戦争賛成の声が出てきたら平和国家は築けない。それを受けて、経営者や財界は、労働者のためにも紛争地や戦争当事国に武器を輸出するのは当然であると言う。たくさん買ってもらうほど良いと言う。そのために、自国が戦争を起こすことさえ画策し、支持する。このようなことが他国では実際に起こっている。誰も戦争なんか好むものはいないとみんな言う。しかし、労働者の雇用を守るために仕方がないという口実で、財界が肥え太る戦争はいつまでも続く。戦争なしでは成り立たない社会を現政権は作ろうとしているようだ。その社会では財界も労働者も多くの人が戦争を支持するようになる。日本は今その道を歩もうとしている。戦争こそ一番儲かるビジネスといわれる。一刻も早く、今だけ金だけ自分だけの現政権を倒さなければ日本はいよいよ、また戦前と同じ道を歩むことになる。