久しぶりに良い天気になった。天気予報では明日からまた雨の日が続くようだ。雨ばかり続いて運動不足になっているので、この貴重な晴れ間を利用してウオーキングしようと思った。コースは女神大橋とその近くの山と決めて、久しぶりに登山靴を履いて出かけた。
女神大橋の駐車場に車を停めてここからスタートする。橋を渡った対岸には今から行く神崎神社や天門峰がみえる。天門峰のピークには稜線に沿って登っていくが、最初の登りはかなり急傾斜なのが見てわかる。急傾斜地は急がないでゆっくり行こうと覚悟する。
海面高65mの女神大橋を上を歩いていく。周りは海で遮るものは何もないから涼しい風を予想していたが、照りつける太陽の陽射しは強く、風は熱風ではないが期待した涼風ではない。沖合に目を向けると、香焼や、伊王島が見える。それらの島々の先に五島列島があり、その先は大陸に繋がる東シナ海が広がっている。
山歩きを始める前に神崎神社へ参拝する。神社からは今渡って来た女神大橋が間近に見える。女神大橋ができてからは簡単に神崎神社へ参拝できるようになったが、それまでは主に船で参拝していたようだ。
神崎神社を参拝した後はいよいよ山歩きである。山に入り、最初ははっきりした山道が続いていたが、そのうち道が怪しくなる。道が怪しくなると案内テープを頼りに進んでいく。生い茂った雑草を払いながら進んでいく。
そして、段々と傾斜がきつくなる。昨日までの雨で落ち葉は滑りやすいし、周りの土も水分を吸ってツルツルしている。難儀しながら登っていくとロープが張られている。さらに傾斜が急になっている場所にはロープがずっと張られている。このロープには助けられた。どなたがロープを張ってくださったのかわからないが感謝である。
急傾斜を上り詰めると見晴し台に到着。一気に視界が開ける。眼下には女神大橋の美しい姿を見ることができる。さらに長崎の港と長崎を囲む山々の姿を見ることができる。
見晴台からの展望を楽しんだ後、しばらく進むと天門峰のピークに到着。ここは標高166.2mである。ピークは小さな広場になっていて、回りには木々が生い茂り展望は効かない。ちなみに天門峰は(しらと)とふりがなしてある。「天門峰」と書いて「しらと」と読むようだ。低山の割には登るのに苦労した「しらと」166.2mは今日の最高峰である。
天門峰から次の目的地の障子岩山へ行く。障子岩山は139mの低山である。ゆっくりテープを頼りに山歩きを楽しみながら下りていく。日差しは樹木に阻まれこの林の中の空気は冷んやりしている。まさに天然クーラーを実感する。電気メーカーが「#️⃣霧ヶ峰〜」という名前でコマーシャルしているがその霧ヶ峰が山全体で稼働しているような涼感である。遮るものがない時の灼熱の太陽もこの林の中では快適な温度で嬉しくなる。
障子岩山に近づいたところで、振り返ると樹々の間から先ほどの天門峰が見える。視界は木々の切れ間にたまに天門峰が見えるだけでが、障子岩山は展望はない。
障子岩山の山中に、コンクリートの構造物があちこちに残されている場所があった。この一帯は戦争中、高射砲部隊が配置されていたという話を聞いたことがある。長崎は重要な軍需産業の中心地であった。それを守るための施設があった跡らしい。
山の中を歩いてきたら急に明るくなって、目の前に広い運動場が広がった。長崎市立西泊中学校である。西泊中学校の前に天門峰の登山口があると聞いていたが、今日はその逆コースで来たことになる。
西泊中学校からスタート地点へ戻る。戻りのコースは山歩きではなく歩道を通って行く。もう一度灼熱の太陽を受けて女神大橋を渡る。好きな時に好きなように過ごせるのも平和だからできることである。事実、長崎では軍需産業機密保持のため周辺の山に登ることが禁止された時代があった。平和であることに感謝したい。そんなことを考えながらの山歩きであった。