ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「社会の変え方」を読む

 

 元明石市長であった泉房穂氏の著書「社会の変え方」を読んだ。日本国は、今とんでもない政権が政治を担い、日本国憲法を無視して政策を進め、国を壊し続けている。このような現在の日本社会を変えたいと思うが、そう思うばかりで、簡単には進まない。そういう中で諦めの気持ちも起こりそうになる中、泉氏の「社会の変え方」の本を見つけた。参考になるものが書かれているかもしれないという期待を持って読んだ。泉氏の考えはシンプルであった。あきらめない。信じた道を進むだけだと自信をもらった。内容の一部を記す。

明石市すごいというフレーズと共にマスコミで取り上げられる明石市の五つの無料化は次の通りである。①18才までの医療費無料、②第2子以降の保育料無料、③中学校の給食費無料、④公共施設の遊び場無料、⑤おむつ定期便無料である。これらは全て全国初である。だから、マスコミは全国初を大々的に宣伝してくれているが、全国初なんて実は残念で恥ずかしいことである。これらの施策は、日本以外のほとんどの他の国では当たり前のように実施されている施策である。私たちの社会は、グローバルスタンダードから見て明らかに遅れている部分がある。今の時代に必要な施策を『遅すぎてごめんなさい』という気持ちで、必死に提供しているだけである。だから、明石市すごい!と言われると戸惑う。こんなことが全国初になるなんて、日本がどうかしているだけである。日本だけがいかにこれまで何もしてこなかったという残念な事実と冷たい社会への憤りさえ感じる。せめてベーシックな子育て施策くらいは国が全国一律で実施すべきだと主張するが、政治はなかなか動かない。それなら、明石市が自腹でやるだけのことで、明石市ができたら、他の町でもできる。それを広めていきたいのです」

「日本で生まれる子供が減り始めたのは1982年です。そして現在まで40年以上子供はずっと減り続けています。少子化は加速し、長らく経済も停滞しています。この原因は、私たちの社会が子供に冷た過ぎるからです。2011年、私は明石市長に就任しました。どこもやらないのなら、せめて明石市を子供を応援する町にしようと思い、『子供を核としたまちづくり』を掲げて幅広く子ども・子育て施策を展開しました。『五つの無料化』もその一つです。たとえば医療費は、18才まで完全無料、市外の病院も無料、薬代も無料です。医療費の支払いはいりません。明石市の本気が口コミで伝わり、周辺から子育て層が集まってきました。人口は過去最高となり、10年連続で増加していますし、増加率も一位になりました。私は、人口増論者ではありません。いかに市民一人ひとりが暮らしやすいまちをつくるかをベースに政治をしているだけです。冷たい社会を変え、やさしい社会を作ることを追い求めてきた結果として人が集まっているに過ぎません。明石市は、まず子供から始めました。子育て層が増えると、まちは活気を取り戻します。商店街の売上げは伸び、新規出店も増え、住宅建設も続く。地域経済も上向き、市の税収も増える。増えた財源は子どもだけでなく街のみんなへの新たな施策につながります。子どもから好循環が生まれ回り始める。そのことを証明したのが明石のまちづくりです」

「人口減少が始まった1982年頃、日本政府の子供に関する予算は他の先進国の半分程度、一方道路やダムなどの公共事業関係費は他の国の倍近くあった。お金の配分が逆であった。2017年の調査でも子供予算は欧米の約半分で、近年少しはマシになってきたが冷たい社会は今も大きく変わっていない。『子供の貧困』が問題になりますが、その原因は『政治の貧困』です。国がやらないならのなら、自腹でも明石市がやるしかありません。一番身近な行政が、困っている方に寄り添うのは当然です」
 「就任前2010年の明石市の子供予算は126億円であった。就任後に『子供を核としたまちづくり』を開始し、必要な予算を優先して確保してきた結果、2021年には258億円に2倍以上に増やしていった。毎年、10億円を積み増ししてきました。財源がないから難しいという言い訳を聞くことがあります。確かに、施策を行うには財源が必要ですが、明石市が行った『五つの無料化』はどこでもできることです。ただ、優先度を見直し予算の配分を変えればいいだけのことです。予算の配分を変える権限は自治体のトップにあります。それを実行すればいいだけです」

「私たちの生活は政治と深く関わっています。直に繋がっています。政治を諦めることはあなたの未来を諦めることです。その陰で得をするのは誰かをよく考えた方がいいでしょう。社会を変える最も現実的な方法は『政治』だと、私は信じています。私は、私をあきらめない。政治をあきらめない。あなたも、あなたをあきらめないでください。あなたにも『社会を変える』ことは『可能』です。ともに頑張りましょう」などと書かれてあった。

政治に対して絶対にあきらめない。その思いをこの本から強く感じることができた。泉元市長は現状の政治に対する不満を出発点にして声を上げた。そして同調者を増やしていって政策を実現していった。泉元市長と同じように政治に不満があれば立候補すればいい。立候補できなければ、信じられる人を探して担げばいい。政治は誰がやっても同じは大きな間違いである。誰を選ぶかによって政治は良い方向にも悪い方向にも変わる。泉元市長は市民の応援だけで当選した市長である。政治家を選ぶポイントの一つとして、企業や団体の応援で当選した議員は最初から一般市民よりその企業や団体を見ている。そして予算配分も企業や団体寄りの行動をとる。市民派の市長や、市民派の国会議員を育てることが必要と思った。あきらめたらその時点で終わりである。あきらめないで声をあげ続けることしか政治を良い方向にむけることはできない。泉元市長みたいな政治家を全国に育てて行く必要があると思った。