ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

ウクライナ戦争について考える

 ウクライナ戦争については、ロシアの一方的な侵略が原因というふうに日本では見られていて、日本での報道はウクライナ側に立った報道が圧倒的に多い。ウクライナ戦争はウクライナが正義で、プーチンのロシアが悪という構図である。
 そのウクライナ戦争は終結の見通しが全く見えない。これ以上の犠牲者を出さないためにも早急に終わらせることはできないのだろうかと思って、ウクライナ戦争に関する資料などを見ていたら、日本の新聞、テレビではあまり見ないニュースを見つけて、考えてしまった。それはウクライナ戦争に対する各国の反応である。

 2022年11月のインドネシア・バリでのG20サミットにおいては、ロシアによるウクライナへの侵攻を強い言葉で非難したが、同時に「他の見解や異なる評価もある」との文言が付け加えられていた

そして今年9月に行われたインド・ニューデリーで開催されたG20サミットでは、「ウクライナにおける戦争が、世界の食料とエネルギーの安全保障に及ぼす人的被害と負の付加的影響」について言及されたが、この件に関しても「異なる見解と評価がある」との文言が再度付け加えられ、ロシアに対する非難の文言は排除されたと書かれていた。
 また、戦争についての表記は「ウクライナに対する戦争」ではなく「ウクライナにおける戦争」と訂正された。これはロシア・中国の主張が汲み入れられたものと理解されている。ウクライナ戦争に対する評価と位置付けは国連においても完全に二分されているようだ。米国を中心とする西側ではロシア非難で世界が一つに結束しているかのような報道を展開するが事実ではないようだ。
 ウクライナでの戦乱が拡大した2022年3月の国連総会緊急特別会合で「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」が採択された際、賛成した国は193ヵ国中の141ヵ国、賛成に回らなかった国は52ヵ国だったが、これを人口比で見ると賛成国が42%、非賛成国が58%だった。

 同年4月のG20財務相中央銀行総裁会議において対ロシア経済制裁に加わった国は10ヵ国(EUを1ヵ国として)、経済制裁に加わらなかった国が10ヵ国だった。これも人口比でみると制裁参加国19%に対して制裁非参加国81%(EUを人口最多国スペインの人口で計算)だった。人口比ではロシア制裁に加わっていない国が8割と圧倒している。ロシアが悪でウクライナが正義という図式は国際社会ではコンセンサスになっていないようだ。
 そもそもウクライナ戦争は米国が米国の利益のためだけに引き起こした人災であると見ている国も多いようである。そもそもの原因は米国がウクライナ政治に内政干渉し、ウクライナ政権を二度にわたって転覆したことにある。2004年と2014年の政権転覆だ。2014年の政権転覆は暴力革命によるものだった。樹立された非合法政府を米国が国家承認し、新政府はウクライナ国内のロシア系住民に対する人権侵害と虐殺行為を推進した。その結果としてウクライナ内戦が勃発し、ウクライナ戦争は多数のロシア系ウクライナ人の保護のためにロシアが侵攻する理由になったと言われている。

 アメリカの“TIME ”誌に、ブラジル前大統領のインタビュー記事が掲載された。「プーチンウクライナに侵入すべきではなかった。しかし、罪を犯しているのはプーチンだけではない。米国もEU も有罪である。ロシアが主張しているウクライナ侵略の理由は何でしたか。NATOの東方拡大政策です。米欧は「ウクライナNATO に加盟しない」というべきだった。それで問題は解決して戦争は起こらなかったでしょう。ウクライナ大統領ゼレンスキーはプーチンと同じくらい戦争の責任があります。なぜなら、ウクライナEU加盟についてもっと真剣に話をすべきだった。ゼレンスキーは戦争を望んでいた。もし彼が戦争を望まなかったらもっと交渉したでしょう。周りの人々も戦争を奨励しています。あなたたちはゼレンスキーを励ましている。私たちは平和のために真剣な会話をする必要があります」
 イギリスガーディアン紙には次の主張が掲載された。
「多くの国がNATOの東方拡大は戦争になると警告した。それが無視された。我々は今、米国の傲慢さの対価を支払っている。ロシアのウクライナ攻撃は侵略行為であり、プーチンは主たる責任を負う。だが、NATOのロシアに対する傲慢で聞く耳持たぬというロシア政策は同等の責任を負う」

国際的に評価の高い新聞、雑誌には、日本で見られない意見が掲載されている。それらの情報は普段日本で報道される内容と違うので戸惑うばかりである。私たちは、報道の自由の国に住んでいると思っていたが、私たちがテレビや新聞で目にするニュースは、政府が認めた、政府に都合の良い情報しか流れない仕組みになっているようだ。

 そういう中、孫崎亨氏がこの戦争を終わらせるための方法はある。終わらせるための条件もあるという話をされているのを拝見した。孫崎氏のウクライナ戦争終結の条件は次の二つであった。①NATOが東方不拡大の約束を守ること ②ウクライナ東部2州南部2州の帰属を住民投票によって決定すること。この二つを約束すれば停戦可能と言っていた。NATOの東方不拡大の約束は1990年に欧米首脳とロシアとの間で明確に約束されたことであり、それをそのまま実行すれば良いだけの話である。また東部南部各州の自治権は一度認められたこともあり、選挙で帰属を決めるのであれば国連の民族自決の方針に沿っているので問題ないように思う。この条件で停戦可能であれば、ブラジル大統領が言うように、周りの国々は戦争を奨励しないでロシア・ウクライナ双方に平和のための真剣な会話をするよう勧めて欲しい。すぐにでも停戦交渉に入ってもらいたいと思う