ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

2024年を迎えて 「中村哲という希望」

「日本はこれからどこへ向かおうとしているのだろうか?」ということを考えると失望という言葉しか浮かばない。それは、自民党政権が支配してきた日本では何も問題が解決されないばかりか、問題の傷口がさらに大きくなっていくように感じるからである。今、日本が直面している問題で、これ以上対策が遅れると取り返しがつかない事態になると言われているのが少子化対策である。昨年の国会でも、今すぐにも、最低8兆円程度の対策を今講じなければ、禍根を残すと言われていた。その少子化に対して、岸田総理は、異次元の少子化対策を断行すると華々しく宣言していたが、実際は3兆円程度の内容に乏しい対策で、専門家からは効果はあまり期待できないと呆れられている。岸田総理は防衛費は5年間で43兆円増額すると早々に決定したが、少子化対策は、口先ばかりで本気度が感じられない。少子化で日本そのものが滅亡すると言われているのに、それに対策しないで何の国防費かと怒りさえ覚える。
 少子化対策一つを取ってみても、現在の自民党が真剣に取り組んでいることは国家百年の大計では決してない。彼らが真剣に取り組んでいるのはのは自分の利権のための政治であり、自分の蓄財のための政治である。防衛費増強、関西万博開催、マイナー保険証問題これらも東京オリンピックと同様に利権にまみれている国家事業だから懸命になっているのではないかと思う。

 岸田総理はなぜ総理大臣になったのですかと、昨年子供から聞かれて、日本の最高権力者だから総理大臣を目指したと答えた。岸田総理は何かをしたいために総理大臣になったのではない。最高権力者だから総理大臣を目指したのだ。そして総理大臣になった今は、できるだけ長くその地位にあり続けることを目標に行動しているようだ。
 長く総理の地位にあり続けるために、弱小派閥の岸田派としては、最大派閥の安倍派をはじめ、麻生派、茂木派など他派閥へ配慮しながら政権運営がなされてきた。だから、自民党と政治の問題である統一教会問題や、マイナーカード問題、処理水放出問題、裏金問題など何一つ明確に解決するなどこれからも期待できない。

 岸田総理の目標は長く総理であり続けることで、今もって、岸田総理が何をしたいのかは全く見えてこない。政治家として実現すべき理想をもたない人物が、日本国の総理であり続けることほど日本国にとって不幸なことはない。それが続くことを考えると失望しか浮かばない。

 そういう中、平野貞夫さん、前川喜平さん、佐高信さんの三シジ放談を聞いた。三ジジ放談の中で、「中村哲という希望」という本の紹介があった。その本の話を聞くうちに、私の心の中に日本人としての希望が湧いてきた。

中村哲さんは医者でありながら、アフガニスタンの荒野に井戸を掘り用水路を拓き何十万人もの命を守る活動をしてきた人である。残念ながら2019年12月4日、アフガニスタンで用水路の建設や医療活動など、人道支援に取り組んできた中村哲医師が銃弾に倒れた。この本は中村哲医師の知行同一を追ったものである。

二〇〇一年に中村哲さんは国会のテロ対策委員会に参考人として呼ばれ、自衛隊アフガニスタン派遣は有害無益だと断じて、自民党議員らからの強烈なヤジを受けた。そのヤジを放った議員は今、裏金問題の渦中にいる。そして、私利私欲の裏金議員の対局にいるのが中村哲医師である。

以下案内を引用する。
「テロ特措法で、米国と日本が一緒になって、米国の敵まで日本が引き受けてしまったということでしょうね。日本というと、やっぱりアジア諸国の人にとっては大きな心の支えだというのは現地の人の通念だと思うんですよね。ところが、米国支援で、いろんな敵をつくってしまった」

「どんな山奥に行っても平和憲法を持つ日本は襲撃されることはなかった。厄除けめいて日の丸を車のボディに描いてきた中村医師たちは、日の丸が危険防止の方法たり得ない状況に立ちいたったとき、日の丸とJAPANの文字を消した。自衛隊のアフガン介入によって、日本人ボランティアの安全性はいちじるしくおびやかされるに至ったのだ」
 世界において平和憲法を掲げる日本こそが尊敬され、親しまれているのである。それを改めることは、まさに日本を壊すことになる。中村はそれを日々の暮らし、生き方において教えていた。
 二〇一三年六月六日付の「毎日新聞」夕刊でも、中村はこう言っている。
憲法は我々の理想です。理想は守るものじゃない。実行すべきものです。この国は憲法を常にないがしろにしてきた」
 憲法九条が変えられたら、自分はもう日本国籍なんかいらないという中村は、九条の現実性を次のように強調する。
アフガニスタンにいると『軍事力があれば我が身を守れる』というのが迷信だと分かる。敵を作らず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる。単に日本人だから命拾いしたことが何度もあった。憲法9条は日本に暮らす人々が思っている以上に、リアルで大きな力で、僕たちを守ってくれているんです」

歩く日本国憲法中村哲は逝った。世界に戦火が広がろうとしている今、私たち日本人は憲法9条を実行すべきと思う。中村哲は言う「死んでも撃ち返すな」
憲法9条を実行する、私たちには「知行合一」の覚悟が今こそ求められている