ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「逆転裁判官の真意」を見る

 この番組は関西テレビが作成したテレビドキュメント番組である。その紹介記事を読んで興味を持ち見ることにした。この番組を見て、裁判に対するイメージが変わってしまった。

以下に紹介記事を引用する
「退官直前に“逆転無罪”を連発した裁判長。彼の真意は誰にも知られていない
2017年7月、一人の刑事裁判官が定年退官を迎える。その名は、福崎伸一郎。最高裁判所の調査官を務めたこともある“エリート裁判官”である。福崎は、2015年12月、最後の職場として大阪高裁に赴任。退官までの1年半、裁判長として一審の有罪判決を次々と破棄。「逆転無罪」判決を連発する。

 有罪率が99%を超える日本の刑事裁判。一審での無罪は珍しいが、二審での「逆転無罪」はもっと珍しい。そのため、退官直前に週刊誌でも取り上げられるなど一時話題となるが、福崎自身は何も語らず、その真意は今も謎のままである。福崎の真意は一体どこにあったのか。

 弁護士資格を持つ私(ディレクター)は、7年前に記者となり、主に刑事司法を対象に取材を続けている。退官直前の福崎の判決も傍聴し、その後二度にわたって取材を申し込んだが返事はもらえなかった。それから6年、冤罪への社会的関心が高まる今だからこそ、福崎の真意を明らかにできないか。退官直前の一種の“告発”だったのか、それとも、偶然の“巡り合わせ”に過ぎないのか。

 まずは福崎の大阪高裁裁判長時代の判決文を集めて読み込んでいく。
すると、数年ストップしていた重大事件の審理を果敢に進めたかと思えば、別の事件では被告人の言い分を最後まで聞こうと審理に時間をかける姿。さらには、軽い事件で独自の法解釈に強いこだわりを見せるなど、福崎の様々な側面が浮かび上がる。実際の福崎は一体どんな人物なのだろうか。私は、福崎の真意を探るために関係者を尋ね歩くことにした。」

 この番組は福崎元裁判官の退官前の真意を探るために、福崎氏ご本人や関係者へのインタビューをしながら福崎氏の真意を探った番組であった。いろんな方が日本の刑事裁判について、さまざまな角度から証言されていた。日本の刑事裁判の有罪率は98.8%です。上級審では下級審の有罪判決をそのまま採用して、控訴棄却するのが一番簡単です。型通りやるだけですから一番楽です。高等裁判所で一審判決を35件破棄して、そのうち無罪7件というのは日本の刑事裁判では異常と思われてもいいでしょう。高等裁判所では新たな証拠調べはしない。提出された判決に伴う検察側と弁護側の証拠類の再確認をするだけです。その証拠書類を丹念に読み込んで矛盾はないか、疑問点はないか、問題点はないかを虚心坦懐に詳細に検討しなければこのような一審破棄の判決は下せない。これをするには大変な労力と情熱がいる。そこまでの情熱を持った裁判官はなかなかいない。それをしたということでしょう。誰でもできることではありませんという元裁判官の声もあった。

 福崎元裁判官だけが無罪が多いということはどう思いますか?という質問に対して弁護人の方が答えていた。決して例外ということではないと思います。以前、木谷明裁判官という方が浦和地裁の刑事裁判で30件以上の無罪判決を出して高裁でも一つも破棄されなかった事実があります。これらの実績をもとに考えると有罪率98.8%という数字が間違っているのではと思います。福崎裁判官や木谷裁判官だけに無罪になる事件がたまたま30件も集中したということはあり得ません。98.8%というのがおかしいのであって、国民に代わって検察が法に基づいて調査をして証拠を集めて起訴したものは有罪に間違いないという思い込みが普通の裁判官にあるのではないかという意見もあった。

 番組が福崎氏にインタビューを申し込んで6年後やっと応じてくれた。「どうして退官前に逆転無罪判決をたくさん出したのですか?その真意は何ですか?」という問いに対して「真意?というものは何もありません。ただ、真剣に仕事に取り組んだらそのような結果になったというだけです」と答えていた。

番組の結びでは、福崎氏みたいな裁判官が日本にいることに希望を見出すべきか、あるいは、福崎裁判官が目立つような現実に落胆すべきなのかわからないと結んでいた。私はこれが裁判の実態と知って怖くなった。