ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

俳句講座 第二回目受講

 第二回目の俳句講義は、漢字季語の話題から始まった。東風(こち)、西風(にし)、南風(みなみ)、北風(ならい)など風についても、俳句としてはさまざまな読み方があるようだ。また、海猫(ごめ)、斑猫(はんみょう)、鵲(かささぎ)、雉子(きぎす)、甘藍(かんらん、キャベツ)、蕃茄(ばんか、トマト)、鳳梨(あななす、パイナップル)など知らない漢字がたくさんあった。

 俳句の基本説明の中で、先生が強調されていたことは、「俳句は自己表現」と「俳句は予定調和を避ける」という言葉であった。「俳句は自己表現」とは、基本的に俳句は自分が感じたことを詠むことであり、他人のことを詠むものではないということである。また「俳句は予定調和を避ける」ということは、ありふれた展開が予想できてしまうような言葉、新鮮味に欠ける展開が予想される言葉を避けるということである。
 私は先生の話を聞きながら、俳句が求めている要素は、新鮮さであり、新感覚であり、新しい感動であると理解した。ありふれた言葉しか持ち合わせていない身には重荷であるが、そこに俳句のエッセンスがあるのだと思った。

 1時間目が終了して、2時間目は宿題であった俳句を発表して添削していただいた。

① アーケード 人疎や 青柳
この句は、商店街の人が少ない状態をうたっているが、三段切れなのでよくない。三段切れにならないように工夫した方が良い。2段切れで作り直しましょう。添削「青柳 人疎なる アーケード」

② おはようと 笑顔あふれる 五月晴れ
この俳句は、状況を説明しているが、笑顔の主は誰なのかわからない。近所の子供達の登校風景という話であれば、それを説明するのではなく、描写することが俳句です。       添削「おはようと 児らの笑顔や 五月晴れ」

③ 若草を 喰みて子鹿は 母に寄る
この俳句は主が、子鹿と母の二つある。さらに、この句は食べている子鹿がさらに母に近づくという動画になっている。主が複数であったり、動画であったりするとぼやけてしまう。俳句は動画ではなく、写真のワンショットに切り取って欲しい。               添削「一心に 若草を喰む 子鹿かな」

④ 青嵐 心も軽く 山歩き
この句は、情景は想像できますが、青嵐の「嵐」と心も軽くの「軽く」が合わない。つり合っていない。そこは変えた方が良い。添削「青葉風 心も軽く 山歩き」

⑤ キロトニン グルグル巡り 夏は来ぬ
昔、歌った「夏は来ぬ」の歌をみんなで歌ったら幸せホルモンがたくさん出て嬉しくなったという思いの句はよく分かりますが、因果関係は説明になるから、因果関係の句にならないようにしましょう。添削「夏は来ぬ 幸せホルモン 脳内に」

⑥ 五月晴れ アンニョンハセヨ 友の顔
この句は、まとまっていますが、変化が欲しいですね。アンニョンハセヨを上五に持ってくることも考えたと言っておられましたが、むしろそれが効果的だと思います。        添削「アンニョンハセヨ 友の笑顔と 花槿」

⑦ 夏の海 風吹きわたる 遠き日に
この句の「わたる」は「夏の海」と昔の「遠き日」の二つに掛けられた言葉ですが、掛け言葉は難しい。俳句は基本一つです。限られた語数の俳句では掛け言葉の表現は難しく難解になる。掛け言葉は基本使わない。添削「夏の海 遠き日の風 吹き渡る」

⑧ 群れなして 山野賑わす 猫じゃらし
この句は猫じゃらしを擬人化しています。俳句は擬人化をあまり良しとしません。そして、「群れなして」と「賑わす」は同類語です。限られた語数ですので同類語を使わないようにした方がいいでしょう。添削「猫じゃらし パーティー山野を 賑わす」

⑨ 母の字の 長閑や趣味の 欄に孫
この句は意味がもう一つはっきりしない。もっと明確に表現した方が良い。俳句では使わない方がいい言葉があります。老、病、母、孫です。これらの言葉は使うと句自体が甘くなる。ついでに言うと、馬鹿、愚も使わない。

⑩ 青空に 続く色なす 初夏の海
この句は、情景が浮かびますが、「色なす」と言う言葉が残念です。「色なす」と言う言葉が説明調になっていて、折角の句を損ねています。俳句は説明ではなく、あくまでも描写です。
添削「空に続く 青碧蒼(あお、あお、あお)と 初夏の夏」

私は、⑩を提出したが、先生の説明を聞いて、説明と描写の違いがよくわかった。私はありふれた言葉しかなく、言葉による描写が上手くできない。青碧蒼(あお、あお、あお)という言葉の発想自体がない。あっても青々(あお、あお)までである。俳句が求める「説明ではなく描写」「予定調和を避ける」「新鮮な感覚」は化石のような石頭では作れない。進取の気象を忘れず、いろんなものに触れて柔軟な発想ができるよう頭を柔らかくしなければと思った。