ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

みさき観音詣で その1

青点をスタートして赤点までのコース。距離19.01km、最低高度4m、最高高度157m、総上昇高度313m、消費カロリー1,780kcal、天気曇り、気温21度、湿度87%

長崎市の西端、野母半島の脇岬の地にある「円通山観音禅寺」には観音様が祀られている。平安時代末期に創建された観音禅寺のご本尊である観音様は、国指定重要文化財の木造千手観音立像で、通称「みさき観音」と呼ばれている。昔から長崎からの参拝者も多く長崎からみさき観音へ続く道は「御崎道(みさきみち)」という道があり、この道を通ってみさき観音詣でをした。

私たちグループのみさき観音詣は、今回で2回目となる。前回はできるだけ古道「みさき道」を忠実に辿るという形で行ったが、今回は「みさき道」にこだわらないで歩きやすい道も考慮して歩くことにした。通常、古道「みさき道」は片道約28kmの1日コースであるが、私たちは片道を2日に分けて歩くことにして、今回は長崎から蚊焼まで回り道をしながら19.01kmを歩いた。

 

今日の集合場所は湊公園である。湊公園の隣にある十人町は「みさき道」の長崎側のスタート地点である。十人町の一角にみさき道の起点になる道塚があったと案内にある。

 

この道は「みさき道」であった道である。今は石畳になっているが、この石畳は江戸時代末期の1858年(安政5年)以降に造られたものである。周りの建物も道の舗装も昔を偲ばせるものは何もないが、道幅は昔と同じくらいだったのかなと思う。

 

みさき道を進んでいき、東山手に入ると居留地境碑の石柱が立ち、ここから居留地であることを示している。1858年の5カ国修好通商条約により長崎にも外国人居留地が造られ、多くの外国人が移り住んだ。併せて東山手には日本の女学校の草分けとなる活水学園をはじめ多くのミッションスクールが誕生した。

 

東山手の洋館群とオランダ坂を通って、みさき道は石橋へ来た。石橋にはグラバースカイロードという日本で初めて道路として作られた斜行エレベーターがある。斜行エレベーターに乗って行くと楽ちんだが、昔のみさき道を歩いていく。この坂は今日のコースの難所の一つで、二本松まで高度差120mを一気に上る。

 

やっとの思いで、ピークの二本松神社到着。ここで小休止して水分を補給する。二本松から海が見える。海の方を見ると女神大橋の主塔が見え、そして海の向こうに伊王島が見える。これからみさき道は山の中へ続くが、昨夜の雨で道がぬかるみになっていることから、ぬかるみのみさき道を避けて舗装された一般道をしばらく進む。

 

ぬかるみのみさき道を避けて一般道を歩いていくと、山からのみさき道と合流する。住宅地を通るみさき道は舗装されて歩きやすい。戸町中学校裏からさらに進むとみさき道は再度山の中に入っていくが、私たちはみさき道から外れて、鹿尾川沿いの道を通ることにした。

 

鹿尾川沿いの道は絶好のウオーキングコースである。鹿尾川には南部地区の上水道用水確保のため鹿尾ダムが設けられており、そのため大きな湖に沿ったようなウオーキングコースになっている。奥の方に進んでいくと活水大学戸町校舎が見えてくる。湖に映る校舎の写真を試みるがうまく撮れない。森林浴も楽しめて景色も楽しめるウオーキングコースは利用者も多いようだ。

 

鹿尾ダムの散歩道を楽しみながら、土井首に出る。これからまた「みさき道」に合流して進んでいく。「みさき道」は土井の首から江川を通って深堀へと続く。

 

深堀は佐賀鍋島藩の城下町であったことから武家屋敷が今も残されている。同時に深堀は漁業の町でもある。町中に恵比寿様が至る所にお祀りしてある。そして、今日は4年ぶりのペーロン競走大会が行われていた。ペーロンの鐘や太鼓の音が海岸の方から聞こえてくる。この音を聞いたら自然に身体が音の方に進んでしまう。往復1.5kmのコースで速さを競うペーロンは夏の風物詩でもある。

 

 

深堀町のペーロンを楽しんだ後は、また「みさき道」へ復帰して先を急ぐ。深堀町から善長谷への方へ上っていく。海の方を見ると沖合に軍艦島が見えてきた。

 

深堀から善長谷を通ってみさき道を進んでいく。しかし、大きな橋がかかり、車道が整備され、地形が変わり、昔の「みさき道」は喪失してしまっている。この近くをこの方向に昔、みさき道があったということで車道を進んできたが、途中、車道から外れて畑の方へ入っていく。畑の角に石柱が立っている。刻印された文字は「今魚町」と読める。これは「みさき道」にあった50本の道標の一つである。道標は寄進によって建てられたようで道標には寄進者の町名と氏名が刻印されていたようだ。このような道標は、今では10本しか確認されていないようだ。今は畑になっているここを、みさき道は間違いなく通っていたのだとこの道標は教えてくれている。

今日のゴール地点である蚊焼バス停に到着。次回はここからスタートしてゴールの観音禅寺を目指す。昔の人は、観音様に参拝するために28kmを歩いて行った。昔の人の信仰心の厚さを敬う。