デモクラシータイムスの2023元旦スペシャル「私たちは、どこへ向かうのか」という討論番組を見た。「2023年、我々はどこへ行こうとしているのか、新しい年2023年は大きな変動や混乱が待ち受けているように思われる。新しい年2023年の始まりにあたり、この一年を私たちはどういう気構えで迎え、何をしていく必要があるかを考えてみたいと思います」という紹介で番組が始まった。司会はノンフィクション作家高瀬毅氏で、論客は東京新聞望月衣塑子氏、政治学者白井聡氏、同志社大学准教授三牧聖子氏、政治学者五野井郁夫氏の四氏であった。
討論を聞きながら興味を覚えたところを以下に記す。
「2022年を振り返って1番懸念されることは大軍拡の話である。その大軍拡の話を一番最初にした政治家は安倍元首相である。その後、安倍元首相が退陣して菅元首相、岸田首相とリーダーは代わったのに、さらに安倍元首相は暗殺されていなくなっているにもかかわらず、安倍元首相が主張していた通りの大軍拡の路線がさらに強固に推進されたのが2022年であった。政治家は何人もいるように思えるが、しかし、実際は彼らは同じことしか言わない一つの人形にしか過ぎない。彼らは腹話術師が使う人形でしかない。誰が首相になっても同じということを示している。では、人形に言わしているのは誰かというと、もちろんアメリカであると推測したくなる。
敵基地攻撃能力(反撃能力)は敵が攻撃に着手した時に行うから先制攻撃にはならないという説明をしているが、実際的には敵の攻撃の着手を見極めることは不可能であるから、一歩間違うと先制攻撃につながる。敵基地攻撃能力の保有は平和主義の否定であり、もし日本が間違って先制攻撃したら、国際社会から厳しい糾弾を受けて日本国自体が滅亡する恐れさえある危険なものである。
日本の産業は長期にわたって低迷し、GDPでは韓国や台湾に抜かれ、低賃金や円安による物価高騰に苦しむ中にあって、現状GDPの1%である防衛費を倍の2%へ増額するという増税を伴う大軍拡といいい、平和主義の否定につながる敵基地攻撃能力の保有といい、狂ったとしか思えない政策をどうして強固に押し進めるのか、合理的に説明できない不条理なことをなぜ無理強いしてでもやろうとするのかを考えると、これはアメリカの戦争への加担しか考えられない。
アメリカは覇権国家として台頭する中国への警戒を怠らない。中国の発展に伴って、アメリカは米中対立に備えてさまざまなシナリオを描きながら準備している。覇権国同士の対立といってもアメリカとしては直接対峙したくない。その時、ちょうど使える駒が日本である。日本に中国を攻撃させる。日中間に戦争が起きて、日本が勝利することは期待できないし期待もしていない。しかし、日本が今のウクライナみたいに善戦して戦争が長期化すれば大国中国といえども疲弊する。それだけでも、アメリカにとってプラスである。日本をアメリカ軍の二軍として自由に使えるようにしておきたい。今、日本が急いでいる軍拡路線、敵基地攻撃能力の保有は全て米中対立の代理戦争の準備として行われていると考えると全てが腑に落ちるし、合理的に説明可能である。
このままいくと、考えられるシナリオは二つに一つしかない。つまり、一つは米中対立の狭間で代理戦争に駆り立てられて、そのまま日本は徹底的に破滅するというシナリオである。もう一つは、私たちが内的に変わることである。具体的に言うと、アメリカのご機嫌を取ることによって、自己保身し出世をはかる人たちが政界でも官界でもメディアでも学問の世界でも財界でも日本のあらゆる分野においてそのような人たちが全部トップにいる。要するに、このクズどもを日本から一掃できるかどうかです。一掃できなければ先に言ったシナリオ通りに日本崩壊へ突き進むしかない。この二つに一つと思います。
二つに一つとシンプルに言ったけど、政党政治に関して言えば、2022年は野党第一党の立憲民主が事実上終わった年である。野党が与党になびき政党が大政翼賛化した年であった。政権与党を倒して日本を変えると言う立場では立憲民主には期待できないことがわかったいま、2023年は政権与党を倒して政権を奪い取る新しい野党の成立を目指すしかない。その時の原理は、日本を独立国にするという原理の下に集結してもらいたい。アメリカの従属国ではなく、アメリカのためなら戦争も進んでやるというアメリカの属州みたいな日本ではなく、独立国としての日本をつくるという使命感、気概を持った政治家が集結した政党を作ってもらいたい。世界の国々と同じように、日本は独立国であると世界から認められるような国にしてもらいたい。そのような政党が出現することしか日本の希望はない。
日本には日米安全保障条約がある。これは強い軍隊を持つ国とそうでない国との条約でこれは一般的な同盟関係の条約である。他国では普通の条約なのに、しかし、日本においては、独立国の尊厳を無視されても政府はアメリカに抗議できないし、アメリカに抗議しない、アメリカの言いなりという状態がある。これが市民社会まで腐らせ、人間性まで破壊するなどのいろんな弊害が生じる異様な運用がなされている。
討論を聞いて、まさにその通りと思うところの多い討論会であった。統一教会とズブズブの自由民主党は岸田首相の支持率は低迷しているにも関わらず安泰というのは、野党が国民から支持されていないからである。その野党は立憲民主党も日本維新の会も公明党も国民民主党も自由民主党の応援団と言われている。反自民の政党は日本共産党、れいわ新選組、社会民主党など少数でしかない。日本の真なる独立を目指す気概を持った政治家の出現とその志を持った政治家の集結した政党の樹立を期待したい。