ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

緊急事態条項の創設について考える

 日本国憲法は5月3日、1947年の施行から77年を迎えた。岸田文雄首相(自民党総裁)は憲法記念日に行われた改憲派の集会に次のようなビデオメッセージを寄せた。
「現行憲法は施行から77年間、一度も改正されていない。時代にそぐわない部分、不足している部分は果断に見直しを行わなければならない。ここ数年、衆参両院の憲法審査会の開催頻度は高まっている。特に緊急事態条項は、各党の考えを含めて論点整理が進むなど、与野党の枠を超えて活発に議論してきた。大変歓迎すべきものだ。
他方で憲法改正は、最終的には国民の判断が必要だ。国会の発議を見据えた議論をしていかなければ、いつまでも憲法改正は実現できない。社会が大きく変化し、憲法改正はますます先送りのできない重要課題となる中、国民に選択肢を示すことは政治の責任だ」と述べた。
 また、岸田文雄首相は5日訪問先のブラジル・サンパウロで記者会見し、憲法改正に関し「自民党総裁任期中に実現したいという思いは、いささかも変わりはない。時間的制約がある中でも、一歩でも議論を前に進めるため、最大限努力していきたい」と語った。

 ところが、毎日新聞が4月20、21の両日に実施した全国世論調査では、岸田文雄首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は27%で、「反対」との回答の52%を下回った。
2022年4月の調査は「賛成」が44%、「反対」は31%と賛成が上回っていたが、23年4月の調査では「賛成」が35%、「反対」は47%と賛否が逆転している。2年連続で「賛成」が減少する一方、「反対」が増加した。首相は自身の自民党総裁任期中に憲法改正を目指すと発言しているが、9月末に任期満了が迫る中、世論の機運は高まっていないと書かれていた
 

 岸田首相は憲法改正に意欲を示しているが、国民はその改憲の必要性を感じていないし、むしろ、裏金つくりなど法律を守れない者が憲法を変えたいなど痴がましいと思っているようだ。私も自民党政権改憲に反対である。特に、岸田首相がビデオメッセージでも触れていた「緊急事態条項の創設」は絶対に反対しなければならないと思う。

改めて憲法を読むと憲法の第十章に次のことが書かれている。
「第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである 」と、私たちは、日本国憲法によって、基本的人権を侵すことのできない永久の権利として保障すると明確に書かれている。

「第98条 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない 」と、この憲法こそ国の最高法規であると述べられている。

「第99条 天皇又は摂政及び国防大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と、この国を統治する権限を有するものはこの憲法を遵守する義務があると明確に述べている。
 このように、日本国の権力を与えられた権力者、為政者はこの憲法に従って、国を治めなければならないと明確に記されている。このことから、私たち国民は常に、為政者が憲法に従って仕事をしているか否かを監視し、憲法に反する行為をしていることがあれば、裁判に訴え出ることが可能であり、それによって失脚させることも可能である。

 まともでない為政者にとって、憲法ほど煩わしいものはないようだ。私たち国民は憲法によって、為政者の政治を監視したり、反対意見を述べたり、裁判に訴えたりすることが可能になる。反対意見を言うのは基本的人権でいう表現の自由の行使である。

 しかし、緊急事態条項が創設されたら、時の政権が緊急事態と宣言することにより、私たちの憲法の効力が停止する。そのかわり、時の内閣が自由に法律を作り統治することができる仕組みである。過去の緊急事態条項の実例では、基本的人権である表現の自由がすぐに禁止されている。緊急事態が発令されたら、反対意見は全て騒乱罪とか国家転覆罪とかに結びつけられ摘発され、処刑されたりして反対意見は全て潰される。法治国家であったドイツで、ナチスファシズム国家が成立したのは緊急事態条項の導入であった。憲法が生きている限りはそのようなことは許されないが、緊急事態条項が創設されると憲法は停止され、死ぬことになるから、権力者への反対意見を潰すことが可能になる。このように基本的人権を全て奪う状態を法律によって作る方法が緊急事態条項の創設である。このことは、今の自民党政権とって願ってもないことだろう。だから、絶対にこんな危険なものを自民党政権に与えてはならない。いや、自民党政権に限らず、どんな政権にでも渡してはならないということをドイツをはじめとして人類の歴史が教えてくれている。「大規模災害や紛争でも遅滞なく国民の生命、財産を守るために絶対必要なものが緊急事態条項です」と自民党議員が説明してたが、騙されないようにしなければならない。