ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

岸田政権の原発大回帰

原子力市民委員会座長を務めておられる大島堅一龍谷大学教授が、岸田文雄首相が推進する原子力政策について意見を述べておられた。それを読んで、とても驚いた。岸田文雄政権は即刻打倒しなければと改めて思った。大島教授の意見を下記に記す。
岸田文雄首相は原子力政策の方向性を大きく変えた。それは、安全よりも原子力産業の利益優先という変更である。岸田文雄政権以前の自公政権(安倍晋三菅義偉両政権)は原発依存度をできるだけ低減するものだった。依存度目標は2030年度に、20〜22%にするものだから、決して低減と言えるものではなかったものの、原発新設を考えていない姿勢を崩していなかった。また原発の運転期間については、原子炉等規正法に則り、原則40年、一度に限り最大20年間延長できるとするものであった。そのため、安倍・菅政権の路線のままであれば、既設の原発は寿命を迎え、遅れ早かれ脱原発に向かう可能性があった。
 ところが、岸田首相は22年7月に、GX実行会議を設置し、第2回会合(22年8月)で、原子力政策の方向性を大きく変えた。すなわち、原子力はGXを進める上で不可欠な脱炭素エネルギーとし、そのために再稼働、運転期間の延長、次世代革新炉の開発・建設の検討を進めるとした。原子力政策の転換は、22年6月17日の最高裁判決(菅野博之裁判長)を契機として始まった。同判決は、福島第一原発事故で被害を受けた住民らが国に損害賠償や原状回復を求めた4件の集団訴訟で高裁段階では住民側の3勝1敗であったが、最高裁はこれをひっくり返し、国の責任を否定した。国の責任が問われなくなったこの判決直後に、岸田政権は、人々の安全よりも原子力産業の利益を優先する方針へと転換したのである。
 岸田政権は、23年2月に、「GX実現に向けた基本方針」と 「G X推進法案」「GX脱炭素電源法案」を閣議決定し、23年の第211回通常国会に提出し、5月に成立させた。原子力基本法改正を含むこれらの法律を、国民が十分に認識しないまま強引に成立させたことは岸田政権の大罪である。GX脱炭素電源法案には原子力基本法改正が含まれていた。従来、原子力基本法は、原子力の平和利用のための原則が定められていたものであった。ところが、23年の改正によって、原子力基本法は、原子力発電を永続化するための法律へと変貌した。
 それは原子力産業保護を国が実施しなければならないとしたことである。すなわち、「電気事業に関わる制度の抜本的な改革が実施された状況においても、原子力事業者が原子力施設の安全性を確保するために必要な投資を行うことその他の安定的にその事業を行うことができる事業環境を整備するための施策」を国が講ずるというのである。
 この条文で「電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況」とは、電力自由化を含む電気事業のあらゆる改革を含むものである。つまり、どんな電気事業にいかなる改革が実施されたとしても、事業者が自らの負担で行うべき安全対策を含め、原子力事業が今後半永久的に継続できるよう、国が「事業環境整備」を行うというものだ 。「事業環境整備」とは、原子力が存続できるよう、税や電気料金、託送料金を通じて、原子力事業を維持するための費用を国民に押し付ける制度である。つまり、新しい原子力基本技法によって、未来永劫、住民負担のもとで原子力産業を維持、救済することになってしまった。

 GX脱炭素電源法成立の影響は、既に現実化している。「長期脱炭素電源オークション」の対象に原子力が加えられた。第1回オークションでは、中国電力島根原発3号機が落札した。その結果、中国電力に対して、今後20年間で合計約1兆円の資金が与えられることになった。その原資は国民が支払う電気料金である。
 第2回オークション以降は、既設原発の安全対策投資も支援の対象にされる。これによって電力会社に巨額の「棚ぼた利益」が発生する。これも国民負担によって実施される。

 以上のように、岸田政権は、福島原発事故に関する国の責任について無自覚であり、福島原発事故後のどの政権よりも原子力推進が鮮明である。岸田政権が作り上げた原子力政策はできるだけ早期に撤退させなければならない」とあった

世界で一番地震が多発する地震大国日本には、原発立地に適した場所はどこにもない。だから、一刻も早く原発を止めて原発ゼロを目指したいと思っているが、岸田政権はその真逆の政策を進めている。しかも、岸田政権が成立させた新しい原子力基本法によって、未来永劫、住民負担のもとで原子力産業を維持、救済していくという。そのために、これから莫大な資源をこの原発に投入していくという。世界は危険すぎる未来のない原発から撤退し、再生可能エネルギーに投資をして未来を切り拓こうとしている中にあって、日本だけが原発産業に莫大な投資をしていくという。日本がいよいよ再生可能エネルギー産業から取り残されるだけでなく、限られた日本の資源、財源を有効に活用しない政策は、日本の没落を愈々早めるだけだと思う。早急に岸田政権のエネルギー政策を撤退させなければと私も思う。