ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

岸田政権の気候危機対策

国際環境NGO吉田明子氏が、岸田政権の気候危機対策について意見を述べておられた。吉田氏は気候危機対策は原発ではなく、再生可能エネルギーで取り組むべきと主張されていた。以下に吉田氏の意見を記す。
「岸田政権の気候危機対策・エネルギー政策の内容は原子力を重視し、化石燃料も重視し続け、特に二酸化炭素排出量の多い石炭火力さえも使い続けるものである。しかし、原子力を進めるにも脱炭素新技術を商用化するにしても、高コストがネックとなり民間の投資は進まない。
 そこで、岸田政権が22年夏に打ち出したのがGX(グリーントランスフォーメーション)である。GX実行会議を内閣官房のもとに設置して議論させた。その内容は、原子力推進に向けて一歩踏み込むとともに、高コストな新技術に投資を促す仕組みを作るものであった。
 日本の原子力政策はすでに衰退しつつある。だが、電力業界や産業会からは、第7次エネルギー基本計画に向けて原発新増設の書き込みや「原発依存度低減」の記述削除を求める声が相次いでいる。
 脱炭素新技術にも大きな問題がある。水素、アンモニアは燃焼時だけ見ると二酸化炭素が出ない。そのためガス火力に水素を、石炭火力にアンモニアを混焼していくことで「二酸化炭素を出さない火力発電」を目指すという理屈である。しかし、その水素、アンモニアをどうやって作るのかが問題である。現在は海外で天然ガスや石炭などを改質して作られており、その時点で大量に、さらにタンカーで運ぶ過程でも二酸化炭素を出す。将来的には海外での製造時に二酸化炭素を地中に埋める、もしくは大規模な再エネによるグリーンな水素・アンモニアも想定するというが、いずれもコストは高い。30年に半減するという期限目標には、到底間に合わず、喫緊の気候危機対策とはならない。
 気候変動の大きな原因である石炭火力についても、国際社会では40年までに世界で全廃、特に先進国は30年までに全廃が必要だと言われている中で、日本はこれからも重要な電源として使い続ける方針を崩していない。全廃に向けた議論はなく、アンモニア混焼への移行が対策だという。23年には、気候危機が深刻化する中で、横須賀の石炭火力2基が運転を開始した皮肉な状況である。

 このように日本における気候危機対策・エネルギー政策は困難な状況にあるように思われるが、日本の研究機関からはエネルギ効率の改善とともに、国民の健康や生活を犠牲にすることなくエネルギー消費や温室効果ガス排出削減はできるというレポートがすでに明らかになっている。

 例えば 明日香壽川氏(東北大学)などの「レポート2030」という研究の中でも、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギー促進などによって、30年に温室効果ガス60%以上削減、50年には実質ゼロと熱や交通分野も含めた再生可能エネルギー100%も可能であると示されている。

 ところが、岸田政権は24年5月に第7次エネルギー基本計画を作成し、原子力政策のさらなる踏み込みを行った。市民参加のないところで原発推進が議論されている。
 エネルギーを巡る状況に目を向けると、気候危機の深刻化とともに、地域での再生可能エネルギーの拡大、企業や自治体の再生可能エネルギー調達ニーズの拡大、需要コントロール技術の進歩など、大きな変化が起こっている。原発事故以前とほぼ同じ、電力業界・産業会に関係するメンバー 中心の審議会で議論していては、再生可能エネルギー社会への転換は望めない」とあった

世界は今、再生可能エネルギーを気候危機対策における主要な対策電源として、その技術開発に鎬を削っている。日本はなぜ再生可能エネルギーの開発に大規模投資をして挑もうとしないのか、日本ではなぜ、再生可能エネルギーが主要な電源として扱われないのか不思議に思っていた。かつて、日本は再生可能エネルギーの分野において、世界の最先端を走っていたのに、その後開発に注力しなかったために、いつの間にか世界から置いてけぼりにされてしまい、日本の再エネ産業は壊滅してしまった。なぜこのようなことになったのだろうと思っていた。このレポートみてその理由がよくわかった。日本の電力業界の中心にいる人たち及び日本の政権与党は再生可能エネルギーが嫌いなのだ。なぜなら再生可能エネルギーが発展すると、当然の如く原発産業が衰退するからである。彼らにとって、税金が湯水の如く投下され、莫大な利益をもたらす原発産業ほど美味しい産業はないみたいだ。国民の税金を無駄にし、日本の産業を衰退させるような政策はすぐに終わらせなければと思う。