「ミュージシャン七尾旅人氏の発言、台湾有事発言を批判して炎上 集まる誹謗中傷に「グロテスク」と投稿してさらに波紋広がる」という記事をネットで見た。
シンガーソングライターの七尾旅人氏が、11月7日の高市早苗首相の台湾有事発言について、11月20日と12月2日に自身のnoteを更新。高市早苗首相の台湾有事発言に端を発したネット上の意見などに対して私見を綴り、物議を醸していると、全国紙政治部記者が経緯を解説していた。
「11月7日、高市首相は衆院予算委員会で、中国が台湾に武力で侵攻する事態について『戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得る』との見解を示しました。この発言は歴代政権が避けてきた表現であったため、中国側は直ちに発言の撤回を求め、報復措置を示唆しました」
その影響は文化交流に及び、ボーイズグループのJO1やギタリストの高中正義など、国内アーティストによる中国公演の延期・中止が相次いでいる。
そういった状況をふまえて七尾氏は11月20日、自身のXで、「高市氏の軽率な自己アピールで、東アジアの安定が大きく損なわれた。その余波は文化交流にも及び、日本人音楽家の中国公演許可が続々取り消しになっている」と、高市首相を批判する投稿を行った。
この七尾氏の投稿に対しては、高市氏への正当な批判だと支持する声がある一方、問題は日本ではなく中国にあるのではといった論調の反対意見が多く寄せられ炎上した。そして、12月2日のnoteで、「私のことは良いとして、少し意見を述べただけの同業者が誹謗中傷を超えた脅迫まがいのメッセージを受けとる事態が相次いでいる」と告発したのだ。七尾氏は、こうした状況を「なんともグロテスクな状況だ」と表現し、「一体ここは、いつの時代の日本なのだ?」と強い懸念を示した。
「七尾氏は、自身の音楽活動の経験から以前より反戦や平和についてのメッセージを強く押し出してきた人物です。今回の投稿でも、単なる政治批判に留まらず、『検閲/自己検閲を経て、内心の相互監視にまで至った日本帝国時代の轍を踏まないようにしなくては』と、歴史的な教訓にまで言及しています」(前出・全国紙政治部記者)
七尾氏の主張に対して、《誹謗中傷は絶対ダメ》《中国が悪いと言う人が多いけど、それだけでは解決できないのもたしか》といった賛同意見もあるが、一方では《この方の現状認識はあまりに一面的と言うか、モノの見方にある種のバイアスがかかり過ぎです》《日本の政府高官がアメリカを非難したらアメリカでの公演が中止になったりしますかね?》といった批判的な意見がさらに多く寄せられさらにヒートアップしているという記事であった。
私は、この記事を見て、七尾氏の主張に同感する。七尾氏は、こうした状況を「なんともグロテスクな状況だ」と表現し、「一体ここは、いつの時代の日本なのだ?」と批判したが私もまさしくそう思う。11月7日の高市早苗総理の不用意な「台湾有事は日本有事」発言は、日本国民に大きな損害をもたらしている。その責任は高市早苗総理にあることは明白である。その明白なことを指摘したら徹底的に叩かれるというのはどう考えてもおかしい。「これはグロテスクだ、いつの時代なのだ」と言いたくなるのはよくわかる。日本国では、高市早苗総理を支持することは自由であり尊重されなければならない。しかし、同時に反対意見の自由も尊重されなければならない。先の戦争中、日本国民は相合監視の状態に置かれ「国家あればこその自分ということを忘れないように、お互い気をつけようではありませんか」と言われながら生きてきた。21世紀の日本において、20世紀の戦争中の日本の空気が蘇って来ているような感じがするのは私の思い過ごしだろうか。そのような時代はもうたくさんだ。