ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

敵基地攻撃能力保有論

イージス・アショア配備計画を断念することが決まった。それと同時に、自民党ミサイル防衛の維持・強化のため、敵基地攻撃能力の議論を積極的に進める姿勢を示している。河野防衛相は敵基地攻撃能力に関し、現行憲法の範囲内で保有の是非を検討する考えを表明した。憲法の範囲内と言っても、運用として大変難しく一歩間違うと先制攻撃になりかねない不安がつきまとう。憲法専守防衛という平和主義の観点から多くの反対意見が起こるのは当然である。

 

毎日新聞は今回の「敵基地攻撃能力」について社説で以下の通り主張している。

『陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の撤回に伴い、安倍晋三首相は記者会見で「我が国の防衛に空白を生むことはあってはならない」と語った。それを受けて、自民党は敵国がミサイルを発射する前にその発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の検討を始めたことについて議論が飛躍しすぎている』と指摘し、

『陸上イージスは1700億円超の契約を結んでいるが、撤回に至った詳しい経緯は明らかになっていない。一連のプロセスを検証し、責任を明確にする必要がある。それをせずに代替策の議論を急ぐ姿勢は、話題を変えて批判の矛先をかわそうとしていると疑われても仕方がない』と疑問を投げかけている。

さらに、『日本の防衛政策は、専守防衛が基本だ。政府はこれまで、敵がミサイル攻撃に「着手」し、他に防御する手段がない場合に限り、敵基地攻撃は憲法9条が認める自衛の範囲内だと解釈してきた。しかし、「着手」の判断は難しく、敵基地攻撃は国際法上認められていない先制攻撃と紙一重だ。

敵基地を攻撃するには、位置を正確に把握し、相手国の防空網を無力化し、基地までミサイルを正確に誘導する装備が必要だ。専守防衛を原則に積み重ねてきた装備体系を大きく変えねばならず、防衛費も大幅に膨らむ。

 

 北朝鮮は移動式発射台や潜水艦からのミサイル発射の能力を向上させている。発射の兆候をとらえて正確にたたくのは技術的にさらに難しくなっている。実効性にも疑問符がつく。

 

 敵基地攻撃能力を持てば、周辺国の警戒感が高まり、安全保障環境を悪化させる可能性もある。

 

 専守防衛を逸脱することは許されない。冷静な分析に基づき、日本の防衛のあり方を議論する必要がある。』と述べている

 

ネットで毎日新聞の社説に対するコメントを読むと

毎日新聞が社説で主張している「敵基地攻撃能力」を持つことに反対する意見ばかりではなく、「敵基地攻撃能力」を持つことに賛成する意見もあった。

 

日本国憲法の平和主義から考えると先制攻撃に繋がる敵基地攻撃能力はありえない話だけど、日本国憲法の平和主義をそもそも理解しない人がいるのを知って驚いた。

 

そのような敵基地攻撃能力保有論に賛成する人を説得するためにはどのように話をしたらいいのだろうと思案していたら、

「敵基地攻撃保有論」について元通産官僚である古賀茂明氏の意見を見つけた。

古賀茂明氏の意見は下記の通りである

『「敵基地攻撃能力」という言葉がなくなる。 といっても、別の言葉に置き換えられるだけの話だ。「自衛反撃能力」「敵基地反撃能力」「スタンドオフ防衛」などという候補が挙がっているそうだ。いずれも、先制攻撃ではなく、自衛のための行動だと強調する意味がある。なんと姑息なことか。後ろめたいからこんなことをするのだろう。 

 

 ことの始まりは、河野太郎防衛相主導で決まったイージス・アショア配備の撤回だった。その決定直後から、待ってましたとばかりに出てきたのが、敵基地攻撃能力保有論だ。 

 

 しかし、敵基地攻撃能力を保有するというのは、はっきり言って「愚策中の愚策」だ。憲法論もあるが、それをおいても、実務的に実行不可能かつ極めて危険だからだ。 (中略)

 

それに、「敵基地攻撃能力保有論」は安倍政権だからこそ心配なことがある。

危険なのは、米中対立の激化だ。敵基地攻撃の議論は、実は、安倍政権の仮想敵国である中国を念頭に置いたものだ。今、世界の賢者たちが、台湾有事から米中戦争というリスクを真剣に語り始めている。そうなったとき、在日米軍基地は対中戦争の前線基地になる。トランプ大統領は、日本に「集団的自衛権」を発動して参戦せよと言う。一方、日本が中国を攻撃するミサイルを保有しているから、中国は反撃態勢を整える。そこで、トランプ大統領安倍総理に「中国が日本攻撃の準備に着手したぞ。日米の自衛のためにミサイルを撃て」と言ったら、安倍総理は簡単にその言葉に乗るだろう。それこそ安倍総理の悲願かもしれない。 

 

 こんな危ないことについて「検討」することすら馬鹿げている。「敵基地反撃能力」などに言葉が変わっても騙されてはいけない。自民党は「北朝鮮が!」「中国が!」と危機感を煽るだろうが、そんな脅しに負けてもいけない。国民は「敵基地攻撃能力保有論」を断固拒否すべきだ。 』

 

古賀茂明氏の意見はいつも明快である。「敵基地攻撃能力保有論」は決して日本のためではない。アメリカ軍の2軍としてアメリカの戦争に駆り出されるための仕掛けというのがよくわかる。なるほどと思った。古賀氏が言うように、国民は「敵基地攻撃能力保有論」を断固拒否するしかない!