ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

五島釣行

 

友達から「五島に釣りに行くけど、都合はどうね?良かったら来んね」と誘われた。願ってもない話で、即座に「行くよ」と答えた。五島は昔、仕事で住んだことのある島である。五島に住んでいるとき、東京から釣りに来ていた青年と話しをしたことを思い出した。
私は東京の若者に尋ねた。「あなたは東京に住んでいるのでしょう?東京からだと近くに八丈島とかいろいろ島があるから、そこで釣りは楽しめるでしょう。それなのに、どうしてわざわざ五島まで釣りに来たのですか?」「八丈島でも釣りは楽しめますが、八丈島になると魚の種類が変わってくるのです。暖かくなり南国の魚になるので、本土と同じ魚を狙うなら五島が一番なんです。五島は釣り人にとっては聖地なのです。」と東京から来た若者は語っていた。長崎に戻り、ときどき地元で釣りをしているが、釣果がもう一つの状態が続いていることもあって、久しぶりに釣りの聖地で釣りをしたいという気持ちになった。

 

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今回の五島釣行の漁場は嵯峨ノ島沖である。狙いは長崎で「尾長」と呼ぶ「クロメジナ」と「フエフキダイ」を狙うということであった。クロメジナを狙うと、同じ生息環境なのかフエフキダイもよくかかるので、狙いが二つになったようだ。どちらにしても、掛かったときの引きが強く釣りの醍醐味を十分楽しめること間違いないらしい。日程はお昼12時に出港。5時間全速で走って17時に漁場到着。すぐ釣り始め、夜を徹して釣りをして翌朝4時45分納竿、5時漁場出発して、また5時間かけて翌日の10時帰港という計画である。

 

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今日の釣り人はいつものメンバーで私を含め参加者4名である。経験豊かな船長さんの案内だから豊漁が期待できそうだ。船に荷物を積み込み西泊港を定刻に出港して一路漁場へ向かう。

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出港して4時間以上を経過してもまだ、目的地の漁場には着かない。今日は風もなく波も穏やか船は全速で目的地を目指して走ってきた。しかし、五島列島までは穏やかだった波が田ノ浦瀬戸を抜けて外海に出ると途端に波が大きくなり、波が大きな音を立てて船腹を叩く。それでも船は全速で進む。そして左手にようやく嵯峨ノ島が見えて来た。ここまで来ると漁場は近い。そして夕日が水平線近くに見える頃、目的地の漁場に到着。これから明日の朝5時まで徹夜の釣りが始まる。

 

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船の上は煌々と明かりをつけて釣りをする。電動リールに仕掛けをセットして餌をつけて底まで落とす。根がかりしないようにすぐに5〜6m巻き戻してあとはお魚さんが食いつくのを待つ。波の動きに合わせて上下していた竿のしなりが、突然、折れんばかりに曲がる。来た。竿を竿受けから外して電動リールをオンにして巻き上げる。それでもヒキが強く巻き上げできない時は巻き上げを止めて堪える。お魚君と必死に綱引きする形だ。お魚君が懸命に逃れようと引く。糸切れしなようにドラグが効いてジージーと少しづつ伸びていく。お魚君の引きが止まったら今度は私が巻き始める。でも、お魚君も簡単には巻き上げさせてくれない。またお魚君が必死に逃れようと引き始めるので巻き上げを再度止めて、耐える。ドラグが伸びる。引きの力が弱くなったら今度は私が巻き上げる。糸切れを起こさないように慎重に慌てないで引いたり止めたりしながら時間をかけて上げていく。そして魚影が見えてきたら電動を手動に切り替えてゆっくり引き寄せて、あとはタモで掬いあげて漁成功である。やっとの思いで甲板に引き上げてため息をつく。結構いい形の尾長であった。

そして、明け方までこの闘いの連続であった。夜を徹しての漁は全て順調というわけではなかった。根がかり三度で、その度に貴重な時間を浪費することになった。しかも仕掛けは3本しか準備してなかったので、特に3回目の根掛かりは仕掛けを失うと漁を続けることができないので、根がかりを外すために時間をかけて、根がかりを外すことを試みたがとうとう仕掛けを失う羽目になった。仕掛けがないと漁はできない。まだたっぷり時間はあるのに、漁を止めざるを得ない状況に追い込まれたが、友達から仕掛けをもらって続けることができた。

 

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今日の漁の狙い目の尾長(クロメジナ:左)はメジナとよく似ているがクロメジナは鰓蓋の縁が黒く、またクロメジナは尾長と言われるように尾鰭が長い、さらに、クロメジナは尾鰭の縦の部分が真っ直ぐではなく湾曲しているのでわかりやすい。フエフキダイは釣り上げたときに笛を吹くように口を開けているからその名がついたと聞いたことがあるが確かに釣りあげたとき口を開けているのが多かったようだ。サバ(右)は根がかりを警戒して底から10〜15m上層をさぐっていたらサバもヒットするようになった。深さによって魚種が変わるのがはっきりしていて面白いと思った。

 

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今日の釣果はオナガ6匹、フエフキダイ11匹、サバ五匹、ウメイロモドキ2匹の合計24匹であった。私にとっては大漁であった。帰宅して早速頂いた。どれも新鮮だから、刺身でよし塩焼きでよし、フライで良し、煮付けでよしという全て満足いくおいしさであった。

今回の釣行は天気に恵まれラッキーであった。しかし、五島を過ぎて外海に出ると穏やかな天気でも波は荒い。遣唐使の時代、五島は日本最後の寄港地であった。当時の船でこの荒海に乗り出すのはまさに命懸けの航海であったろうと思う。五島発の遣唐使の乗組員の気持ちを少しだけ感じる釣行であった。